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点字本を姫路文学館に寄贈した森はな顕彰会の福本陽子会長(右)=姫路市山野井町
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点字本を姫路文学館に寄贈した森はな顕彰会の福本陽子会長(右)=姫路市山野井町
東日本大震災の犠牲者を追悼する行事で海に流される木の葉の舟。兵庫県内の子どもも毎年メッセージを寄せている=2020年2月、姫路市四郷町
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東日本大震災の犠牲者を追悼する行事で海に流される木の葉の舟。兵庫県内の子どもも毎年メッセージを寄せている=2020年2月、姫路市四郷町
森はなさん
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森はなさん

 児童文学「じろはったん」で知られる兵庫県朝来市和田山町出身の作家・森はなさん(1909~89年)の全15作品が、福島県の点訳ボランティアグループの手で点字本になった。森さんが小学校教員を務めたゆかりの地・高砂市の「森はな顕彰会」の依頼を受けて2年がかりで完成させ、このほど兵庫県点字図書館など10施設に寄贈。兵庫と福島を結ぶ取り組みは、10年前の東日本大震災で1冊の「じろはったん」が奇跡的に津波被害を免れたことで始まった。(小林良多)

 1973年に出版されたこの作品は戦時中の但馬地域が舞台。知的障害のある主人公・じろはったんは戦争で仲良しの「新(しん)やん」を失ったが、理解ができない。連絡を取りたい-と懸命に覚えたひらがなで「しんやん」と紙に書き、タイサンボクの葉に縫い付けて親友の眠る海に流した。

 10年前に宮城県石巻市で被災し、今は福島県伊達市で暮らす永野泉さん(66)にとって、「じろはったん」は大切にする本の一冊だった。津波にのまれた自宅から本がほぼ無傷で見つかり、メッセージを受け取ったような不思議な思いにとらわれた。「森さんが書いた『互いをいたわる心』を被災地で広げたい」と2013年から「木の葉の舟」を海に流す追悼行事を最初に宮城県名取市で始め、後に福島県相馬市で催すようになった。

 その相馬市が追悼行事の告知を広報紙に掲載する際、点訳を担ったのが同市内のボランティアグループ「てんとうむし」。永野さんは、後に全作品の点訳を担うことになる同グループの船迫恵美子さん(48)にこうして出会った。

 全盲の長女を育てる船迫さんには、福島県で初めて盲学校でなく普通学級に通わせた経験があった。点訳の依頼を受けて初めて読んだ「じろはったん」だったが、「ハンディがあっても周囲がそっと見守り、時に助ける姿は理想の世界。それが、これほど以前の作品に描かれていることに感激した」と振り返る。

 船迫さんらは18年6月から点訳に取り掛かり、但馬弁の意味や言葉の区切り方に苦戦しながらも2カ月かけて完成させた。

 一方、追悼行事にタイサンボクの葉を提供するなどして協力してきた高砂市の森はな顕彰会は、永野さんを通じて取り組みを知り、全著作の点訳を希望。船迫さんら「てんとうむし」のメンバー15人は、手分けしながら地道に作業を進め、20年6月に全15作品を仕上げた。

 完成品を受け取った顕彰会は、神戸市中央区の兵庫県点字図書館や姫路文学館など県内外の計10施設に寄贈した。同会の福本陽子会長は「途方もない作業をよくやり遂げてくださった。作品を広く読んでほしいという思いが遠く福島まで届いたことがうれしい」と深く感謝している。

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