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昨年、自主避難者の支援団体を設立した斎藤英子さん。全国の支援団体と定期的にインターネット会議を開く=姫路市香寺町
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昨年、自主避難者の支援団体を設立した斎藤英子さん。全国の支援団体と定期的にインターネット会議を開く=姫路市香寺町

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故を受け、福島県いわき市から故郷の兵庫県姫路市に移り住んだ斎藤英子さん(60)が昨年、同じ自主避難者を支援する団体を立ち上げた。地元での交流会や個別相談などを通じて、人口の少ない地域に住む避難者の孤立を防ぐ。震災の発生から10年となる今も、兵庫には福島に戻れない被災者が400人以上暮らす。「避難者同士だから分かり合えることがある」と斎藤さん。心を寄せ合い、前を向く。(田中宏樹)

 震災で斎藤さんの家族4人は無事だったが、放射能の影響を心配し、長男と長女は発生3日後に香寺町へ避難した。当時はそれぞれ高校2年生と小学6年生。斎藤さんは福島で仕事を続け、1年後に転居した。夫は今もいわき市に残る。

 姫路に移ってから自主避難者が集う場に参加したが、会場は阪神間が中心で交通費が負担となった。「地方のまちで新しい生活を始めた人は孤立しやすいのではないか」と感じた。

 そこで昨年3月11日に設立したのが、支援団体「今と未来の笑顔」だ。夏や秋には姫路で避難者向けの集いを開いた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、インターネット上で交流できる機会も設けてきた。

 個別相談では、末っ子の高校卒業に合わせて帰還を考える夫婦に、活動を通じて知り合った福島県大阪事務所の職員を紹介。双方をオンラインでつなぎ、現地の雇用状況や支援制度などを伝えてもらった。夫婦は斎藤さんに「あの日の恐怖を味わった同じ立場だから相談できる」と安心した様子を見せたという。

 ほかにも福島県から補助金を受け、現地で開かれる交流会に参加した避難者への交通費助成などにも取り組む。

 自身も福島への思いは断ちがたく、避難前から乗っている車のカーナビゲーションは、今も「自宅」の登録がいわき市のままだ。

 この10年を振り返り、「仕事や子育てなど日々の生活に精いっぱいな避難者は、自分が利用できる制度に目を向ける余裕がないのでは」と斎藤さん。「だからこそ相談を受け、情報を伝える窓口が必要。誰も取り残されることなく、必要な支援を受けられるようにしたい」と力を込める。

 「今と未来の笑顔」は随時、個別相談を受け付けている。

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