小型無人機ドローンを自動操縦で飛ばし、山林でのシカの生息状況を調べる社会実験が11日、播磨科学公園都市(兵庫県たつの市など)で行われた。実施した兵庫県によると、無人地帯において操縦者から見えない範囲まで機体を飛ばす「レベル3飛行」による鳥獣害調査は全国で初めて。
県が神戸市と取り組む「ドローン先行的利活用事業」の一環。レベル3飛行は操縦者をサポートする補助役が不要なため、少人数でも高低差がある山林などの調査が可能となる。
実験の舞台となったのは、播磨科学公園都市内にある県有林。ドローンはあらかじめプログラムされたルート通りに山林の上空を飛び、可視カメラと赤外線カメラで見下ろした映像が、操縦拠点のある光都プラザ(兵庫県上郡町光都2)内のモニターに映し出された。
シカなどの動物がいると赤外線カメラがシルエットを白っぽく捉えるが、この日、約15分の飛行では見当たらなかった。実験はトラブルなく終わり、県の担当者は「これまでは猟師が山に入り、ふんなどを見つけて個体数を調べてきた。レベル3飛行なら山を歩くことなく、データを効率よく集められる」と将来性に期待した。
(伊藤大介)