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レオポンの剥製。施設内の備品を運び出す作業を不安げに見つめているかのようだ=西宮市鳴尾浜3(撮影・斎藤雅志)
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レオポンの剥製。施設内の備品を運び出す作業を不安げに見つめているかのようだ=西宮市鳴尾浜3(撮影・斎藤雅志)
突き出た口元にライオンの面影が漂う=西宮市鳴尾浜3(撮影・斎藤雅志)
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突き出た口元にライオンの面影が漂う=西宮市鳴尾浜3(撮影・斎藤雅志)
神戸新聞NEXT
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 ヒョウとライオンの異種交配で生まれ、兵庫県西宮市の阪神パーク(2003年閉園)で一大ブームを呼んだ「レオポン」の雄の剥製が居場所を失っている。パーク閉園後は阪神電鉄から市に寄贈され、リゾート施設「リゾ鳴尾浜」で展示されてきたが、同施設も新型コロナウイルスの影響で昨年11月に廃業したためだ。再び“安住の地”は見つかるか-。かつての人気者が、不安な日々を過ごしている。(山岸洋介)

 頭はライオン、体はヒョウ。明るい褐色の毛にヒョウ柄が浮かぶ。旧「リゾ鳴尾浜」の建物に入ると、備品撤去の作業が進む中、体長2メートル近いレオポン「ジョニー」の剥製が透明ケース内でひっそりとたたずんでいた。

 レオポンは1959年、阪神パークが集客の目玉として世界初の2頭を誕生させ、続いて61年にジョニーら3頭が生まれた。ヒョウ(Leopard)とライオン(Lion)の英名を組み合わせて命名された。

 マスコミが「世紀の珍獣」と大きく取り上げ、人気が沸騰。入場門そばのレオポン舎には平日でも観客が押し寄せ、魔法瓶や市販薬のキャラクターにもなったという。

 しかし異種間の人工交配で生まれた動物は生殖能力が低く、レオポンも子孫を残せない一代雑種だった。「自然の摂理に反する」と批判が高まり、この5頭以降は生まれなかった。

 レオポン誕生から約26年後の85年7月、最も長寿だったジョニーが24歳で天国に旅立つと、レオポンは文字通り“幻”の動物となった。

 死後は5頭全てが剥製となり、03年の阪神パーク閉園に伴って、国立科学博物館(東京)と天王寺動物園(大阪市)に各2頭、西宮市にジョニー1頭が引き取られた。

 リゾ鳴尾浜では、翌04年春から入り口付近で公開。プールやフィットネスクラブの利用者が「懐かしい」と眺め、子や孫に阪神パークの思い出を語る姿もよく見られたという。

 ところが昨年、新型コロナによる臨時休業や利用者減少が経営を直撃。運営会社に出資する西宮市が廃業を決め、施設の立つ臨海地区一帯の再整備を検討すると表明した。

 レオポンの剥製について、市公園緑地課は「一世を風靡(ふうび)した歴史の証言者。必ず適切な保存・展示場所を見つけたい」とする。

 長年、一つ屋根の下で過ごした運営会社の担当者は「がらんと静まり返った館内で向き合うと、表情もどこか寂しげに感じる。安住の地が見つかり、ずっと愛される存在でいてほしい」と願う。

■希少動物の剥製「遺伝情報の宝庫」

 レオポンのように希少な動物を剥製として残すことの意義について、専門家は「生前どんな姿をしていたのか、写真や映像では分からない情報の宝庫。種の遺伝的な特徴を研究する上でも貴重な資料だ」と話す。

 レオポンの剥製2体を保管する国立科学博物館。剥製など標本づくりの専門家として知られる川田伸一郎研究員は「体形がしっかりと再現され、よくできている」と語る。

 ネコ科動物には毛並みにつむじのような模様があり、種によって位置が異なるが、雑種のレオポンの場合は左右の肩に1個ずつ付いている-といった研究論文も残されているという。川田研究員は「そうしたデータも剥製があれば一定の検証ができる」と説明する。

 同館では過去に少なくとも2回、特別展で展示された。傷まないよう良好な状態を長く保つには日光を避け、適切な温度・湿度で保存する必要があるという。(山岸洋介)

【ネコ科の異種間雑種】 レオポンのほか、世界にはライオンの雄とトラの雌から生まれた「ライガー」や、トラの雄とライオンの雌を交配させた「タイゴン」などもいる。いずれも生殖能力が低いほか、先天的な疾患や骨の発育不全などを患うケースが多く、短命になりやすい。

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