文部科学省から指定を受けた高校が重点的に理数教育を行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に、兵庫県は14校が選ばれ、東京都、大阪府に並んで全国最多となっている。指定校には最先端機器を整備する予算が支給され、大学生顔負けの高度な研究に取り組む生徒も。県教育委員会は指定校入りを目指す学校に対し、研究費など財政面でも後押しする。(斉藤絵美)
「教育環境は大学並みです」。県立神戸高校主幹教諭の繁戸克彦さん(59)は胸を張る。
同校は2004年度からSSHの指定を受け、現在はより手厚い教育が可能な「人材育成重点枠」にも選ばれている。校内にはPCR検査で使われる機械や、細菌を保管できるマイナス80度の超低温冷凍庫、スマートフォンやパソコンの画面に映し出せるデジタル顕微鏡などがずらり。いずれも生徒全員が使用でき、繁戸教諭は「実験や課題研究の幅が格段に広がる」と語る。
「カイコに複数の細菌を感染させた際の病原体の相互作用を調べる研究」「静電気を用いたマイクロプラスチックの除去方法を探る調査」…。生徒たちはそれぞれ、ユニークな課題に取り組む。卒業生には世界的な研究者として活躍中の人材も多いという。
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SSHには、国から研究費や備品購入費、講師料などとして毎年750万~1200万円が支給され、5年ごとに文部科学省が指定更新の可否を審査する。研究成果などが判断材料にされ、継続を希望しながら更新されない学校も珍しくないという。
兵庫県内の高校数は全205校。428校ある東京都の半分以下なのに、なぜSSHが多いのか。
県教委の担当者は「各校が切磋琢磨しているからではないか」とみる。県内のSSHなどは毎年、研究成果を発表する催し「サイエンスフェア」などを通じて交流を重ねており「努力している学校を見て、うちも頑張ろうと思うのでは」と推測する。
また、県教委は18年度から、SSHの指定を目指す学校に対し、研究費などとして年間100万~200万円を助成する制度を導入。20年度はこの支援を受けた2校が新たに指定を受けた。県教委の担当者は「質の高い研究を続けるのは大変だが、生徒にとっては学びの幅が広がる。目指す学校には積極的に支援していきたい」と話している。
【兵庫県内の2020年度SSH指定校】 神戸、六甲アイランド、尼崎小田、宝塚北、三田祥雲館、明石北、加古川東、小野、姫路西、姫路東、龍野、豊岡、神戸大付属中等教育、武庫川女子大付属中学・高校











