兵庫県立西宮病院(西宮市)が2012年8月から放射線診断医を厚生労働省に届け出ず、不適切な診療報酬加算を受けていたことが昨年に分かった問題で、無届けの医師による画像診断で病院に支払われた診療報酬の加算分が、少なくとも5千万円に上ることが13日、同病院への取材で分かった。病院は厚労省近畿厚生局の指示に基づき、返還手続きを進めている。
額が判明したのは、15年2月~19年1月の加算分。15年2月に電子カルテを更新する以前の分を合わせると総額はさらに膨らむが、更新前の電子カルテはサーバーが故障し、データが復元できない状態という。病院は「金額を特定するのは困難」としている。
放射線診断医は、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像を読み取り、主治医につなぐ役割がある。一定の経験か専門資格が必要で、厚労省に届けていれば診療報酬に加算が認められる。
19年2月の近畿厚生局の調査で、12年8月以降、2~3人いる放射線診断医について、届け出ているのは0~1人だったことが判明。無届けの医師による画像診断にも診療報酬が加算されていた。病院は「以前の担当者が規定を勘違いしていた。手続き上のミス」としている。
病院は社会保険診療報酬支払基金などに返金する手続きを進めているが、更新前の電子カルテは製造元に依頼してもデータが取り出せず、全額返済の見通しは立っていない。担当者は「近畿厚生局と対応を協議し、指示を仰ぎたい」としている。(山岸洋介)











