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「淡路中甲高黄」の種=南あわじ市八木養宜中、南淡路農業改良普及センター
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「淡路中甲高黄」の種=南あわじ市八木養宜中、南淡路農業改良普及センター
「淡路中甲高黄」の種からできた母球。採種して更新する=南あわじ市八木養宜中、淡路農業技術センター温室
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「淡路中甲高黄」の種からできた母球。採種して更新する=南あわじ市八木養宜中、淡路農業技術センター温室
タマネギ畑の前に立つ谷口保さん=南あわじ市中条中筋
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タマネギ畑の前に立つ谷口保さん=南あわじ市中条中筋

 食材の宝庫・淡路島の代名詞とも言える甘くてみずみずしいタマネギ。その“元祖”とされ、今はあまり見かけない品種「淡路中甲高黄」の復活に兵庫県が乗り出す。丸く大きく育ち、収穫量も多いため、昭和30~40年代に全国に広まり、その名をとどろかせたブランド種。半世紀を経た2021年度、県は淡路のタマネギの歴史を改めて知ってもらおうと、地元農家と協力して栽培を増やす。(上田勇紀)

 県の資料によると、淡路中甲高黄は2種類あり、昭和32(1957)年にできた。県産野菜の来歴や品種をまとめた「兵庫の野菜園芸」などにも記述が残る。

 旧三原郡(現・南あわじ市)の農家斉藤幸一さん、農業改良普及員の西川真二さん、農業試験場淡路試験地(現・県立淡路農業技術センター)に勤めていた谷口保さん(92)=南あわじ市中条中筋=の3人が協力し、もともとあった「淡路中甲高」を発展させた。

 丸くて大きい母球を選んで採種と栽培を繰り返し、苦労の末に仕上げた。当初は開発者の姓を取って斉藤系1号、同10号と呼んでいた。4年後、谷口さんが名付け親となって淡路中甲高黄1号、2号と命名した。

 6月に時期をずらして収穫でき、高さのある「甲高」で粒ぞろいが良い。島内はもちろん、県内、全国で生産する農家が増えたが、次第に別の品種を掛け合わせた一代雑種の「F1」が普及。貯蔵のしやすさなどから流通が拡大し、昭和40年代後半から淡路中甲高黄は主流の座を譲った。

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 谷口さんは懐かしむ。「収穫量はF1に引けを取らない。むしろ多いかもしれん」。退職後、卒寿を越えた今もタマネギを育てる「超ベテラン」農家となった。

 一方、淡路農業技術センターは淡路中甲高黄の種を冷蔵庫で保存。定期的に敷地の畑にまき、母球を育てて温室に植え、新たな種を採って更新する作業を進めてきた。

 淡路県民局は島が生んだこの品種に着目。地域創生推進費を使い、技術センターで保存する種を基に今秋から、農家に委託して育ててもらう。栽培技術を実証し、順調にいけば来年6月に収穫にこぎ着ける。

 「島のタマネギの歴史を伝え、ブランド強化に役立てたい」と同県民局の農業改良普及担当者。技術センターの小林尚司上席研究員も「柔らかくて、(サラダにも適した)早生に近い。甘さやみずみずしさがある」と評価し、「先人の苦労があったからこそ今日の淡路のタマネギがある。足跡を学べるきっかけになってほしい」と願う。谷口さんは「復活に向けた栽培は非常にうれしい」と喜んでいる。

【淡路島のタマネギ】農林水産省の作物統計調査によると、タマネギの2019年産収穫量は兵庫県が10万100トンで、北海道、佐賀県に次いで全国3位。兵庫県のうち9割を淡路島3市が占めた。早生、中生、晩生など収穫期が長く、知名度も高い。同省は今年2月、伝統的な農業や農村文化を保護する「日本農業遺産」に主要産地の南あわじ地域を認定。タマネギ・稲作の二毛作と酪農を連携させ、稲わら、牛ふんを堆肥に活用するなどした生産循環システムが評価された。

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