神戸製鋼所が神戸市灘区の石炭火力発電所で増設中の2基のうち1基について、4月中旬に試運転に向けた「火入れ」を行う方針であることが16日、分かった。年内で試運転を終え、早ければ2022年1月にも本格稼働する見通し。
同社は既存の2基に加えて2基を増設し、それぞれ21年度と22年度の営業運転開始を目指している。
関係者によると、3号機で4月中旬、ボイラーに点火する火入れを行い、試運転を経て来年1月か2月の営業運転を目指す。4号機は1年後の火入れを予定する。作業によっては騒音が発生するため、消音器や防音シートで対策を講じるという。
増設を巡っては、周辺住民ら12人が大気汚染への配慮を欠いた同社の環境影響評価(環境アセスメント)を認めた国の確定通知を取り消すよう求めた行政訴訟を起こしたが、15日、大阪地裁判決は訴えを退けた。訴状によると増設の2基(総出力130万キロワット)が出す二酸化炭素は年間692万トンで、一般家庭150万世帯分に相当するという。
同社広報は「21年度に試運転を始め、予定通り年度中の営業運転開始につなげる」とした。(石沢菜々子、森 信弘)
