兵庫県明石市で虐待が疑われた乳児が児童相談所に1年3カ月間にわたり一時保護された問題で、市が設置した第三者委員会は23日、検証報告書を公表した。同市が兵庫県から引き継いだ際、保護継続の必要性の検討が不十分だった上、第三者がチェックする仕組みがない制度上の不備を指摘した。
乳児は2018年8月、生後50日で骨折が判明して県中央こども家庭センターが一時保護し、家庭裁判所に親子分離を申し立てた。19年4月に引き継いだ明石市に対し、家裁は申し立てを却下。19年11月に大阪高裁への即時抗告が退けられるまで一時保護は続いた。
報告書は「裁判官から和解の打診を受けながら方針の再検討ができなかった」と指摘。要因に「児相が見立てを誤らないとの考えが前提にある」「子どもの安全を考えるあまり、親子分離による悪影響が考慮できていない」と挙げ、第三者の関与がない一時保護制度の不備に言及した。
兵庫県の対応については、県による今後の検証結果も踏まえて検証する意向も示した。同市は4月から、元裁判官らでつくる第三者機関が一時保護の妥当性などをチェックする新制度を始める。(小西隆久)









