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6200万円を投じて建設された相撲場。市議の要望で予算増額を指示した副市長が退任する事態となった=姫路市白浜町甲(撮影・大山伸一郎)
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6200万円を投じて建設された相撲場。市議の要望で予算増額を指示した副市長が退任する事態となった=姫路市白浜町甲(撮影・大山伸一郎)

 兵庫県姫路市で3月、生え抜きの副市長2人が任期途中で同時に退任した。うち1人の高馬豊勝氏(59)は、特定市議の要望に応じて不透明な予算流用を決めた責任を取るとして、議会の委員会中に突然辞意を表明。清元秀泰市長への相談もなかったとされ、上層部の溝を露呈した。市長交代から2年。庁内ではトップダウン型の市政運営がコミュニケーション不足を招いているとの声も上がる。(田中宏樹)

 「職を辞し、おわび申し上げたい」。3月18日の市会常任委員会。高馬氏が突如立ち上がって辞意を述べると、委員会室は数秒間沈黙に包まれた。

 「寝耳に水」(与党会派の市議)だった清元市長は委員会後に慰留したが、高馬氏は固辞。すぐに後任の選定へ移り、3月末で定年退職するはずだった市長公室長の起用が決まった。同日夕には議長経験のある市議の元へ職員が走り、人事案を説明する姿があった。

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 異例の退任劇の発端となったのは、昨年秋に市職員への「不当要求行為」が認定された松岡広幸市議(54)による要望だった。

 松岡市議は地元・白浜地域の小学校に新設される相撲場を巡り、東京・両国国技館を模した特殊な「神明造り」での建設を要望。費用は約6200万円と当初予定の約2・5倍に膨らんだが、高馬氏は、小学校の「付属施設整備事業費」として一括確保していた予算の中から相撲場分の費用を増額して対応するよう財政局へ指示を出していた。

 要望をのんだのは、市が重点プロジェクトとして2015年から進める中央卸売市場の移転に支障が出るのを恐れたからだ。移転先は松岡市議が地盤とする白浜地域。高馬氏は委員会で同市議について「圧力を感じる場面も多く、機嫌を損ねると市場事業に影響が出る印象があった」と漏らした。

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 一方、副市長2期目だった黒川優氏(64)は、清元市長が1期目の折り返しを迎えたことを退任理由の一つとするが、庁内で言葉通りに受け止める向きは少ない。

 黒川、高馬両氏は、2019年まで4期16年にわたって市長を務めた石見利勝氏(79)の下で長く幹部職員として働いた。当時の石見市政を知る中堅市議は「現場の意見を吸い上げるボトムアップ型が特徴だった」と振り返る。

 これに対し、医師でもある清元市長は知見を生かして新型コロナウイルスへの対応を主導。研究機関と新たな取り組みを始める際、事前の調整もなく発表日を決めたこともあった。スピード感を評価する声がある一方で、「専門家であり、市長が決めた方針には幹部職員でさえ意見できない」といった不満もあった。

 清元市長は今春の人事異動で、側近の配置に自身の意向を色濃く反映させるなどトップダウンの側面が際立つ。ある市OBは「市議の不適切な要望を受け入れた副市長や幹部職員に頼りなさは感じる」としつつ、「市政運営は1人ではできない」とくぎを刺す。

 今月6日の定例会見。後任の副市長2人を紹介した清元市長は一連の経緯を念頭に「暗礁に乗り上げる事業は前面に出てリーダーシップを発揮したい」と話した。

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