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地中レーダーを使って姫路城「カの櫓」の石垣内部を調査する作業員=2021年1月(姫路市提供)
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地中レーダーを使って姫路城「カの櫓」の石垣内部を調査する作業員=2021年1月(姫路市提供)
石垣が大規模に崩落した熊本城(2016年5月)
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石垣が大規模に崩落した熊本城(2016年5月)

 熊本城の石垣の3割に被害が出た2016年の熊本地震(本震)から16日で丸5年となる。石を一つずつ積み直す20年がかりの工事が続く一方、破損現場の調査で石垣崩落のメカニズムが解明され、国宝などに指定された全国の城で耐震補強や見学動線を見直す動きが始まった。世界文化遺産・国宝姫路城(兵庫県姫路市)でも20年度から石垣の詳細な調査がスタート。年間約150万人の観光客を地震から守るため、安全確保の方策を模索している。(古根川淳也)

 熊本城の石垣の総面積は約7万9千平方メートルに及び、地震で計2万3600平方メートルに崩落などの被害が出た。夜間に発生したため負傷者はなかったが、時間帯によっては大惨事になっていた恐れもある。

 石垣の強度などを研究する国士舘大学理工学部の橋本隆雄教授(地震・地盤工学)は、地震直後から熊本城を調査。石垣の形状や地盤の種類、内部の栗石(くりいし)層の厚みなどを計測し、地震の力が石垣に及ぶ計算式を開発した。コンピューターによるシミュレーション結果は実際の被害と合致しており、石垣内部のデータがそろえば崩壊の危険性が予測できるようになった。

 これまで石垣の耐震性を評価する基準がなく、文化庁もこの成果に着目する。国宝彦根城(滋賀県)では調査で崩落の恐れがある石垣が判明し、観光客の見学ルートを変更した。

 同庁で震災対策を担当する西岡聡文化財調査官は「観光客が立ち入るエリアを耐震補強なしに公開するのは妥当ではない」と話す。

 姫路城では、過去の簡易判定で耐震性が弱いとされた「化粧櫓(やぐら)」と「カの櫓」の下にある石垣を対象に、20年度から3カ年計画で調査を開始。地中レーダーやボーリングで石垣内部の様子を計測している。データがそろえば橋本教授が耐震性を判定する。耐震性が弱い建物はあと19棟あり、今後20年程度かけて調べるという。

 城を管理する姫路市公共建築部の小林正治部長は「石垣の崩落が予想できれば、より安全に城を見てもらえる。文化財には手を加えないのが一番だが、調査結果次第で最低限の補強を考えたい」と話した。

 文化庁は姫路城の調査結果なども反映し、全国の城で使える石垣の耐震診断指針を21、22年度で策定するという。

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