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「志のもと」で販売する熟成焼き芋=神戸市兵庫区荒田町4
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「志のもと」で販売する熟成焼き芋=神戸市兵庫区荒田町4
日本一に選ばれた「シルクスイート」熟成焼き芋
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日本一に選ばれた「シルクスイート」熟成焼き芋
「全国やきいもグランプリ」で日本一になった「神戸芋屋 志のもと」の野元篤志さん=神戸市兵庫区荒田町4
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「全国やきいもグランプリ」で日本一になった「神戸芋屋 志のもと」の野元篤志さん=神戸市兵庫区荒田町4
日本一に選ばれたシルクスイートの熟成焼き芋
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日本一に選ばれたシルクスイートの熟成焼き芋

 かつては「ほくほく」が当たり前だった焼き芋が、「ねっとり」に様変わりして人気を集めている。火を付けたのは、肉や魚などでも注目される「熟成」だ。2020年には「全国やきいもグランプリ」が初めて埼玉県で開かれ、神戸市兵庫区の専門店「神戸芋屋 志(し)のもと」(旧店名=芋屋HUG)が、ねっとり食感の「熟成焼き芋」で日本一に輝いた。業界はいま、和菓子にも比肩するという甘い焼き芋で4度目のブームにある。(谷川直生)

 神戸芋屋は「神戸の台所」として親しまれる湊川市場に17年に開業。全国からえりすぐった旬のサツマイモを常時4~6品種そろえる。全て収穫後40日から半年ほどかけて熟成させたものだ。

 店主の野元篤志さん(41)は「糖度は40度以上と和菓子並み。一昔前の焼き芋とは違い、まさに天然のスイーツ」と話す。

 同店に卸す徳島県鳴門市の農家、林由唯(よしただ)さん(50)によると、サツマイモの熟成は温度13・5~15・5度、湿度90%以上を維持する専用の保管庫で行われる。低温多湿の環境に長期間置くことで、でんぷんが糖質に変化。甘みが増すとともに、口当たりもねっとりするという。ただ、途中で腐敗するサツマイモもあり、林さんは「店頭に並ぶのは厳選された極上のものだけ」と話す。

 神戸芋屋は、それを低温でじっくりと焼き上げる独自の方法で甘みを最大限引き出すという。野元さんは「サツマイモは栄養価も高い。夢は焼き芋のテーマパークをつくって多くの人に親しんでもらうこと」と語る。

    ◇   ◇

 焼き芋の第4次ブームは2000年に入って始まったとされる。

 サツマイモ研究の第一人者で、これまでに約30品種の開発に携わった農学博士山川理(おさむ)さん(74)によると、最初のブームはなんと江戸時代で、享保(きょうほう)の大飢饉(だいききん)(1732年)の救荒作物として脚光を浴びたという。

 2度目は開国直後の明治時代だった。戦後には、石焼き芋の引き売り屋台が人気を博して第3次ブームが起こり、定着した。

 そして00年代には、温度と焼き上がり時間などを調節して焼き芋ができるオーブンが誕生し、スーパーでの販売が開始された。07年に、新品種「紅(べに)はるか」が登場し、人気が再爆発した。

 紅はるかは、収穫直後は筋張っているが熟成させると、なめらかでねっとりした食感になる。山川さんは「味の良さはもちろん、どんな気候でも栽培できる強みがある。現時点で最高の品種」と話す。

■肉、マグロ…「寝かせておいしく」

 「熟成肉」が注目を浴び始めた2010年代以降、熟成マグロや熟成焼酎など、「熟成」を売り物にした食品が次々と現れた。食品の熟成を研究する日本食品包装協会の石谷孝佑(たかすけ)理事長(77)は「食品の付加価値を高めている」と分析する。

 石谷さんによると、熟成とは「寝かせておいしくすること」を指す。ワインやソースのように化学反応▽小麦粉や果実のように酵素反応▽ビールやチーズのように微生物-などのメカニズムによって熟成する。サツマイモの熟成は、このうち酵素反応に当たる。

 最近、人気が出つつあるのがジャガイモだ。収穫後に低温の場所に保管することで、でんぷんが糖に変化し、甘い味わいになる。また、ひきたて、打ちたて、ゆでたての「3たて」がおいしいとされるそばを低温で約1年間熟成させて提供する店もあるという。

 石谷さんは「寝かせておいしくなるものは『熟成』、駄目になるものは『腐敗』『変質』と言える。食品ロス削減の観点から、今後も新たな熟成食品がどんどん出てくる可能性がある」と話す。(谷川直生)

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