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手をつないで歩く親子=2日午後、神戸市内(撮影・鈴木雅之)
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手をつないで歩く親子=2日午後、神戸市内(撮影・鈴木雅之)
日本国憲法25条で規定されている「生存権」の条文
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日本国憲法25条で規定されている「生存権」の条文

 新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、日本国憲法の25条で規定されている「生存権」が脅かされるケースが起きている。特に深刻なのが、ひとり親世帯や雇用が不安定な女性たち。取材したシングルマザーは「コロナで倒れるのが先か、お金がなくて倒れるのが先か」と嘆く。憲法の施行から3日で74年。改めて生存権が問われている。

 「いつまでこんな生活が続くのか…」

 京都市内で文筆業を営む男性(46)は頭を抱える。離婚を機に3年前、6歳と8歳の娘を抱え東京から移住した。

 本業の傍ら、月に2回関東にある専門学校で講師をしていたが、コロナを理由に一時休業に。企業から、業績悪化を理由に記事提供の仕事を切られたこともある。昨年から、収入が前年の半分や3分の1以下になる月が続く。娘が家にいる時間が増え、食費や光熱費もかさむ。

 「ひとり親はフルタイムの仕事に就きづらく、仕事を変えるわけにもいかない。子どもを守るため、日々耐えるしかない」。苦しさを吐露する。

 伊丹市の40代女性は昨年、6年ほど勤めた介護施設を辞めた。高齢者施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次いだからだ。

 小学生の一人息子を育てるが、周囲に頼れる身内はいない。「息子には私しかいない。感染が怖かった」。苦渋の決断だった。

 その後、清掃会社で働いたが、数カ月は試用期間のため収入は半分近くに。元夫からの養育費も滞ったままだ。冬は暖房代を節約するため、家の中でもコートを着て過ごした。

 空っぽの冷蔵庫を見つめては、生活保護を申請しようか迷う日々。だが「(生活保護への)世間の風当たりは強い。近所でうわさになるかも」とためらう。

     ■

 コロナ禍で苦しむ人を支えるため、政府は低所得のひとり親世帯に対し、これまで2回、給付金を支給した。ただ、離婚が成立していないなどさまざまな事情を抱え、救済策からこぼれ落ちるケースがあった。

 3回目は両親がいる世帯にも対象を広げ、子ども1人当たり5万円を給付する。無利子の融資制度も拡充し、低所得世帯には返済を求めないと決めた。

 一方、生活保護の申請には、援助できる親族がいないかを福祉事務所が確認する手続き「扶養照会」がある。虐待などを背景に、家族と連絡を絶っている人にとって、申請のハードルになっている。

 一般社団法人「ひとり親支援協会」(大阪市)の今井智洋代表理事は「ひとり親は金銭面だけでなく心理的な負担も大きい。周囲からのバッシングに心を痛める人も多い」と話す。

     ■

 憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を有する」と明記している。国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならない-とも規定する。

 だが、長引くコロナ禍は社会に暗い影を落としている。厚生労働省によると、2020年の全国の自殺者は前年より912人多い2万1081人。09年のリーマン・ショック以来、11年ぶりに前年を上回った。

 男性は11年連続で減ったものの、女性は過去5年で最多に。小中高生の自殺者数も急増し、499人は統計のある1980年以来、最多になった。

 兵庫県警によると、県内の自殺者は888人で、前年より女性だけが11人増えた。厚労省自殺対策推進室は「女性の方が雇用が不安定で、コロナ禍がさまざまに影響している」とみている。(末永陽子)

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