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言葉を出さず、音も立てずに食事をする修行僧(曹洞宗近畿管区教化センター提供)
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言葉を出さず、音も立てずに食事をする修行僧(曹洞宗近畿管区教化センター提供)
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三辻忍さんが作成し、画像データを公開している黙食のポスター
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三辻忍さんが作成し、画像データを公開している黙食のポスター

 全国の飲食店で広がる「黙食」の呼び掛け。食事中の会話で新型コロナウイルスが広がるのを防ぐためだが、楽しいはずの会食中に沈黙とは…。違和感を訴える声もあるが、ここは仏教の知恵を借りよう。禅寺では食事も修行の場とされ、会話はおろか漬物をかむ音さえも禁じた「究極の黙」が求められる。なぜ黙って食べるのか。禅僧に尋ねると、感染予防にとどまらない現代を生きるヒントが見えてくる。(古根川淳也)

 禅宗の一派で、食を重視する曹洞(そうとう)宗。同宗近畿管区教化センター(神戸市兵庫区)統監の丸子孝法さん(74)に黙食の理由を尋ねると、宗派の開祖・道元が南宋(なんそう)(中国)から持ち帰った「五観(ごかん)の偈(げ)」という言葉の意味を教えてくれた。

 いわく「米粒一つ、菜っ葉1枚にも、育て、運び、調理してくれた人がいる。自分の生き方は、これを食するに値するか」。

 修行僧は食前に五観の偈を唱え、応量器という食器に入る分だけの食事と向き合い、無心で口に運ぶ。

 道元は修行を通して食の大切さに気付き「法(真理)は食、食は法」と説いた。釈迦(しゃか)は断食を長年続けても悟りを得られなかったが、スジャータという娘から施された乳粥(がゆ)を食べて悟りに至った。食べて元気であってこそ真理を得られる-。そんな考えが反映されているという。

 食の由来に心を配り、無駄にしない精神は国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも通じるという。丸子さんは「食べながら会話をすると集中できない。飽食の時代だからこそ、黙して食と向き合う精神を見直してほしい」と期待する。

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 臨済宗妙心寺派の本山・妙心寺(京都市)では「大衆禅堂」という1泊2日の座禅会があり、朝食にはミシュランガイド一つ星の精進料理店「阿じろ」から取り寄せた粥などを本堂で食べる。求められる作法は修行僧と同じで、会話や音はご法度だ。

 現在はコロナ禍で休止中だが、参加したことがある女性(44)は「食べることだけに集中し、米の甘さやみその繊細な香りが五感で感じられた」と振り返る。

 同派教化センター職員の清水勇磨さん(31)は「調理する人も修行。食事に込めた気持ちを静かに感じ取ってほしい」と話す。

     ◇     ◇

■SNSで全国に普及

 「黙食」を呼び掛けるポスターを作り、話題になった飲食店もある。

 福岡市のカレー店「マサラキッチン」店主の三辻忍さん(46)だ。食事中の会話に客が不安を抱くという声を聞き、あくまで自分の店のルールとして、子どもの頃に給食指導で聞いたこの言葉を使ったという。

 デザイナー時代の技術を生かし、今年1月にポスターを作成。店内に掲示してツイッターで発信し、画像データを無償で公開したところ、瞬く間に全国に広がった。

 三辻さんは「黙食のポスターを示せば大声の客にも角を立てずに注意できる。強い言葉なので反感もあるが、覚悟を持って張り出す店には効果的」と話す。

 ポスター画像は同店ホームページから自由に取得できる。

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