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1974年に発行された「釣り手帳」の初版(右)と最新の48版を手にする伊藤太一さん=明石市大明石町1
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1974年に発行された「釣り手帳」の初版(右)と最新の48版を手にする伊藤太一さん=明石市大明石町1
親しみやすい手描きのイラストで愛好される釣り手帳。沿線の変貌を伝える((上)2021年版、(下)初版)
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親しみやすい手描きのイラストで愛好される釣り手帳。沿線の変貌を伝える((上)2021年版、(下)初版)

 山陽電気鉄道(神戸市長田区)が半世紀近くにわたり、主要駅で無料配布し続けている冊子がある。「釣り手帳」。シーサイドエクスプレス(海辺の電車)の愛称で親しまれる山電が、釣りはもちろん、名所旧跡など沿線の楽しみ方を指南するガイドマップとしてもうってつけだ。明石市を代表するイラストレーターと山電の歴代担当者が力を合わせ、年1回の改訂を重ねてきた歩みをたどった。(長尾亮太)

 今年の元日に発行した最新の「改訂48版」を開く。東は須磨ノ浦(神戸市須磨区)から、西は新舞子(たつの市)まで22カ所の地図のイラストが載る。釣り場は「×」で表示し、山陽電鉄の最寄り駅からのルートを案内する。碑や社寺などの文化財、観光スポット、飲食店も描かれ、釣りファンならずとも足を延ばしてみたくなる。

 イラストを担うのは明石市在住の伊藤太一さん(85)。厚紙の表層をカッターで切り取ることで絵を描く「彫画」を考案し、その作家として名高い。釣り手帳はペンの先端に墨汁を付けて描いており、図面から味わいがにじみ出る。

 釣り手帳の生みの親は、日本玩具博物館(姫路市)の館長井上重義さん(82)。山電社員として宣伝業務を担当していた約半世紀前、製作を思いついた。「楽しい画風で多くの行楽客を沿線に呼び込みたい」と伊藤さんにイラストを依頼。16カ所の地図を載せ、74年6月の初版発行にこぎ着けた。

 1カ所の地図を描くために現地を何度も訪れた伊藤さん。「へえ、こんな所があるのかという驚きが原動力だった」。年1回の改訂作業では、さまざまな時代の変化を反映させた。戦国武将の黒田官兵衛がNHK大河ドラマの主人公になると、妻鹿駅(姫路市)周辺のゆかりの地をくまなく巡り、地図に盛り込んだ。

 最新版と初版を引き比べると、半世紀のまちの変貌を確かめられる。ちょうど30年前に高架化された山陽明石駅は初版ではまだ地上の小さな駅舎であり、明石海峡大橋が架かる以前の舞子も海岸の地形が現在とまるで異なる。

 最新版の配布が始まる年末になると、会員制交流サイト(SNS)には「今年も入手した」とのコメントが投稿される。息の長い人気冊子の発行を続けるべく、改訂作業は山電グループの担当者らが各地を1日がかりで歩き回り、地図と食い違いがないかを確認。伊藤さんに原画を修正してもらっている。

 「車窓から見える瀬戸内、播磨灘の風景はこの電車ならでは」。半世紀もの間、沿線と歩みを共にした伊藤さんは山電の魅力をこう語る。

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