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村上春樹さんが通った芦屋市立図書館打出分室=芦屋市打出小槌町
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村上春樹さんが通った芦屋市立図書館打出分室=芦屋市打出小槌町
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 作家村上春樹さん(72)は12歳のころ、西宮市から芦屋市へと移り住んだ。デビュー作「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」までの3作品には、明記こそされないが、芦屋がモデルとなった風景が登場する。どことなく海外のような雰囲気を漂わせる。

 ■図書館

 「風の歌を聴け」は、東京から阪神間に帰省した大学生の「僕」が過ごす18日間を描く。「僕」は地元で暮らす親友「鼠」と再会し、海やバーを舞台に夏のひとときを過ごす。淡々とつづられる2人のやり取りに印象的な風景が登場する。

 芦屋市立図書館打出分室とその裏手にある打出公園。作中では「古い図書館」「猿の檻のある公園」とあり、打出分室は実際に国の登録有形文化財の建物が使われ、公園にはサルがいた檻が今もある。

 作家の土居豊さん(54)=大阪府=は「図書館の裏手に公園。ロケーションの近さに地元出身者らしい土地勘がある」と解説。図書館は村上さんが少年時代によく利用した。

 長編小説「海辺のカフカ」で描かれる「甲村図書館」も、村上さんは「昔の芦屋市立図書館にはちょっとそういう雰囲気がありました」と評した。さまざまな作品で象徴的に登場する図書館のルーツは、打出分室にあったのだろうか。

 ■芦屋川の河口

 「僕」の故郷は、デビュー作で「海から山に向かって伸びた惨めなほど細長い街だ」と表現される。芦屋市も東西約2・5キロ、南北約9・6キロと南北に細長いまちだ。初期の3作品は、1970~78年を振り返る形で展開し、その風景は芦屋市の変容に重なる。

 「僕」と「鼠」がチームを組んで、最初に向かう海。打出公園から約1キロ南へ進むと、東西を走る臨港線沿いに旧の防潮堤が走る。作中で2人が出会った70年、防潮堤より南は砂浜だった。71年から始まる造成によって海岸はなくなり、現在は芦屋川の河口に、上流から流れてきた土砂がたまるだけだ。

 「羊をめぐる冒険」では「僕」の故郷の海には「五十メートルばかりに切り取られた昔の海岸線の名残り」が登場する。ファンと何度か舞台を巡った土居さんも「ここは何度来ても、春樹文学の原点の一つだと感じる」と話す。

 さらに足を延ばし、「1973年のピンボール」で、「鼠」がデートをした芦屋市霊園へ。市域の喧騒と離れた山の斜面にあり、芦屋の街並みと海が一望できる。眼下に広がる光景は、「僕」や「鼠」が駆け抜けた舞台だと思うと感慨深い。(中川 恵、霍見真一郎、金井恒幸)

神戸阪神村上春樹
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