新型コロナウイルス対策として2万円分の商品券交付事業を盛り込んだ兵庫県丹波市の一般会計補正予算案が市議会で否決された。選挙公約が実現できないことを受け、林時彦市長は19日、記者会見し、「私がベストだと思う施策を提案したが、『通らなくてすみません』と市民には言わないと、と思っている」と述べた。会見での主なやり取りは次の通り。
-今の思いは。
「残念に思っている」
「(否決されて)一番最初に思い浮かんだのは、頑張ってくれた課長に『ごめんな』と言わなあかんなと」
-市民に向けては。
「大勢(の市議)が討論したので、それを聞いて市民が判断すること。ただ、討論の中で間違った認識のことを言われた人もいた。数字が違っていたり、今までこちらが説明したことと違う受け取り方をしたりしていたことは残念」
「(同補正予算案に)反対した人の論旨には、優先すべき事業を取り下げて、商品券交付事業に財源を持って来たんじゃないかというものがあったが、違う。現実的には実現が不可能だな、という事業などの分(財源)を商品券に回した」
-辞職して民意を問う考えは。
「考えていない。今からだ」
-市民だけでなく、全国的にも批判が集まっている。
「批判される人はしたらいい。甘んじて受けるしかない」
-改めて商品券交付事業を検討し直すことは。
「今のところ何も考えていない。今回の提案がベストだとずっと申し上げている。今でもそう思っている」
「私からもう1回頑張って出そうかとは言いにくい。職員から『もう1回』となればやぶさかではないが」
-一般会計補正予算案にはワクチン接種事業も含まれていた。
「市民は不安に思うだろうから、臨時議会を一刻も早くして、少しでも早く上げていきたいなとは思っている」
-市によると、商品券交付事業に充てる予定だった、国の地方創生臨時交付金のうち約3億5千万円は、年度内に別途事業化しなければ国に返す必要がある。
「明日から検討するとしか言えない。なるべく返金が少なくなるようにしたいが…。(市内部で)優先度が低いとか、制度的に難しいというような理由で、一度取り下げた事業を復活させることも考えられるが、議会での提案説明をどうするか。大変に難しい問題だ」(まとめ・藤森恵一郎)
