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「破れ」や「金継ぎ」跡のある「原子炉花瓶」
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「破れ」や「金継ぎ」跡のある「原子炉花瓶」
鉄釉(左)と青磁の「原子炉花瓶」
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鉄釉(左)と青磁の「原子炉花瓶」
伊藤岱玲さんが制作した「原子炉花瓶」。仏をイメージした作品や「金継ぎ」で割れ目を強調した作品も
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伊藤岱玲さんが制作した「原子炉花瓶」。仏をイメージした作品や「金継ぎ」で割れ目を強調した作品も
ろくろで作業する伊藤さん=丹波篠山市の工房
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ろくろで作業する伊藤さん=丹波篠山市の工房
伊藤岱玲さん
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伊藤岱玲さん

 東日本大震災の発生からまもなく10年。災害や事故をはるか未来へも伝え残そうと、メルトダウン(炉心溶融)した福島第1原子力発電所の「原子炉」をモチーフにした焼き物をつくり続ける陶芸家が丹波にいる。原発事故という「負の歴史」について「焼き物は縄文土器のように、1万年以上も保存が可能で、記録をつなぐ“メディア”と言ってもいい。写真では無理だろうが、陶芸家として『形』に残したかった」と語る。(堀井正純)

 兵庫県丹波篠山市に窯を構える伊藤岱玲(たいれい)(本名・秀記)さん(50)=丹波市、大阪市出身。京都市立芸術大を卒業し、佐賀で有田焼の技法を学んだ。

 主に青磁や染め付けの皿や花器など、「器」を手掛けてきた。原発事故のニュースで、原子炉模型や構造図をたびたび目にし、「原子炉も『器』やな」と感じ、制作を始めた。

 最初の作品「原子炉花瓶」は、事故を起こした米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の原子炉を模した青磁の花入れで高さ約20センチ。2011年秋に丹波篠山で催された芸術祭へ出展した。作品の下部には「圧力抑制室」と呼ばれるドーナツ状のリングをあしらい、上部は「原子炉格納容器」の球体と円筒を組み合わせた。花を入れるため、あえて上部を切断した。

 「人間の記憶は、世代が変われば薄れていくが、焼き物には、500年、千年と、人間の生をはるかに超えたスケールの耐久性があり、事故の記録となる。1万年後にも残せれば」と伊藤さん。

 その後もシリーズとして大小さまざまの「原子炉花瓶」をつくった。焼成で土がはじけ「破れ」たように表現した作品や、焼成中に割れた“失敗作”を、「金継ぎ」の技法で修復し、ひび割れを目立たせた作品は原発の不完全さや事故をイメージした。「般若心経」の経文を書き込んだ器や、仏像をイメージし、配した作品には「祈り」の念を込めた。

 高さ12センチほどの小さな花瓶を無数に並べる「百万塔2011」は、奈良時代、国の安泰のため、天皇の発願でつくられた供養塔「百万塔」を参考に、「原子炉花瓶」と重ね合わせた。伊藤さんは、それら小さな作品の一部を海へ流したり、土の中に埋めたりしている。「僕の作品を、後世の人が見つけてくれれば」との願いを込めて。

      ◆

 震災10年にあわせた作品展「陶芸家 伊藤岱玲の思い」を6~11日、西宮市甲子園口1の「ギャラリーわびすけ」(TEL0798・63・6646)で開く。

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