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縄文遺跡の環状列石をイメージした石庭に立つ(左から)「小田垣商店」の小田垣昇社長と、改修を手掛けた美術家杉本博司さん、建築家榊田倫之さん=丹波篠山市立町
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縄文遺跡の環状列石をイメージした石庭に立つ(左から)「小田垣商店」の小田垣昇社長と、改修を手掛けた美術家杉本博司さん、建築家榊田倫之さん=丹波篠山市立町
新設されたカフェから望む、杉本博司さん設計の石庭「豆道」=丹波篠山市立町
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新設されたカフェから望む、杉本博司さん設計の石庭「豆道」=丹波篠山市立町
新設されたカフェ「小田垣豆堂」の店内。杉本さんは掛け軸に「豆堂」と筆をふるった=丹波篠山市立町
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新設されたカフェ「小田垣豆堂」の店内。杉本さんは掛け軸に「豆堂」と筆をふるった=丹波篠山市立町
美術家杉本博司さんが設計した庭の一部=小田垣商店
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美術家杉本博司さんが設計した庭の一部=小田垣商店

 江戸中期創業の黒豆卸の老舗で、店舗や蔵が国登録有形文化財となっている「小田垣商店」(兵庫県丹波篠山市立町)が大規模改装を終え、14日に再オープンする。改修を手掛けたのは、世界的な現代美術家杉本博司さん(73)らが率いる建築設計事務所。伝統的かつシンプルな石庭「豆道」が誕生し、カフェも併設した。小田垣昇社長(51)は「黒豆文化の魅力を発信したい」と意気込んでいる。(堀井正純)

 事業費は約2億5千万円で、うち国の補助金が5千万円。店舗など10棟のうち5棟(計約450平方メートル)の修復・改修工事を昨年6月から進めていた。

 同店は1734(享保19)年、鋳物屋として創業。1868(明治元)年に種苗店に転じ、地元特産の丹波黒大豆を世に広めた。店舗は江戸後期に建てられた平入り木造2階建ての町家。重厚な外観を生かしつつ、耐震補強などを施し内部を再生した。土間には京町家で使われていた石を敷き詰めた。

 目玉は、焙煎(ばいせん)した黒豆茶などを味わえるモダンなカフェ「小田垣豆堂」とユニークな石庭「豆道」。いずれも杉本さんが命名した。

 「豆道」(約180平方メートル)はコケと石で構成された枯れ山水風の庭。石が現代アートのオブジェのように車輪状に配された。「縄文時代の環状列石(ストーンサークル)の遺跡を現代的に再現した」と杉本さん。中心に本物の縄文遺跡の遺物を用い、悠久の時間を想像させる。

 杉本さんは元あった庭を更地にして造園した。「ゼロから設計したが思った以上にうまくいった」とし、現代的で洗練された「禅」的な空間は、カフェからも堪能できる。

 同店は歴史ある建物に新たな価値を加え、黒豆文化を未来に継承していこうと改修を決めた。テーマは「伝統と革新」「アートと食」の融合。2025年までに、茶室や離れ座敷などにも手を加える予定。

 小田垣社長は「瀬戸内海のアートの島・直島(香川県)のように、海外からも多くの人が訪れる場になれば。ここを拠点に黒豆文化を世界に発信したい」と話している。

 午前9時半~午後5時半。年始を除き年中無休。同店TEL079・552・0011

■建築を通し「時間」を表現 改修担った杉本博司さん

 杉本博司さんは、日本が誇る現代アート界のスターの一人。「時間」などをテーマにした写真作品を発表する一方、建築や舞台演出も手掛け、古美術収集家としても知られる。ベネチア・ビエンナーレ国際建築展へ出展するなど、国内外で評価が高く、フランス芸術文化勲章オフィシェも受章した。

 東京生まれ。ニューヨークと日本を行き来して活動していたが、「この1年半は(コロナ禍で)海外へ出られず、この建物の仕事に集中することができた」と冗談めかす。

 2008年、建築家榊田倫之(さかきだともゆき)さんと設立した設計事務所で、古い素材で建築することが最も新しい試みであると確信。建築を通して「時間」を表現してきた。

 小田垣商店は、江戸時代から明治、大正と増築を重ねてきた。改装にあたり、杉本さんは「新しくしたというより、古くした」。江戸時代風につくり込んだという。

  NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の題字揮毫(きごう)などをきっかけに、「最近、書に目覚めた」という杉本さん。石庭には杉本さんの文字で「豆道」と刻んだ石板が立つ。店の入り口の看板には、樹齢千年を越える屋久杉の古材に「黒まめ」と刻んだ。(堀井正純)

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