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10軒の民家などが焼けた火災現場=29日、丹波篠山市山内町
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10軒の民家などが焼けた火災現場=29日、丹波篠山市山内町
焼け跡の後片付けの作業を手伝う災害ボランティアら(市社会福祉協議会提供)=29日、丹波篠山市山内町
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焼け跡の後片付けの作業を手伝う災害ボランティアら(市社会福祉協議会提供)=29日、丹波篠山市山内町
神戸新聞NEXT
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 兵庫県丹波篠山市山内町の大規模火災の発生から、31日で1週間。木工所から24日夕に出火した炎は瞬く間に燃え広がり、民家など10軒を焼き、鎮火まで約16時間を要した。焼失面積は延べ約2200平方メートル。市消防本部によると「市内の住宅地火災では過去に例のない規模」という。徹夜で消火作業に当たった消防団員は「火の回りが早く、夜間だったら犠牲者が出ていてもおかしくなかった」と振り返る。1人暮らしの高齢者が多く住む地域で、死者、負傷者はゼロ。その背景を探った。(堀井正純、綱嶋葉名)

 午後5時15分ごろ、火災発生を告げるサイレンが城下町に鳴り響いた。民生委員は家を飛び出し、住民らの安否確認に駆け回った。地域に密着し独居世帯などの情報は頭に入っていた。

 発生から10分後の午後5時25分。市消防本部からまず消防車両2台と隊員7人が到着。既に火元から周囲の建物に延焼が始まっていた。

 サイレンやメールで発生を知った地元消防団も続々と現場に駆け付け、放水作業に従事。田畑幸生消防団長によると、土曜日の夕方だったこともあり、団員も早く集まりやすかったという。

 火の勢いが増す中、山内町の住民が、駆け付けた消防隊員に、現場周辺の地図を手渡した。住民の氏名、住所、家族構成などが記されていた。隊員は「この地図が救助に役立った」と振り返る。

 「知り合いが声を掛けてくれてなかったら焼け死んでいたかも」と語るのは、1人暮らしの女性(76)。近所の女性が1人暮らしの女性宅に声をかけ、外へ逃げようとした。そこに消防隊員が「表は火が迫っている」と呼び掛け、裏手から脱出した。

 現場では、住民が逃げ遅れたとの情報が入り乱れた。消防活動の原則は「人命救助が最優先」。隊員たちは情報に基づき、住民が残っているという民家に放水しながら、救助を試みた。

 同消防本部の坂本哲也署長補佐(47)が消火していた現場にも、逃げ遅れ情報が入った。坂本署長補佐は、炎が迫る民家に2人の人影を見た。煙が充満した家に、飼い猫を探し回っていた。「もう(家から)出てください! ネコは家開けてたら出て行きます!」。大声で叫んで説得。何とか裏口から2人を逃がした。その直後、火が燃え移った。

 この火災では、同消防本部の全ての消防車両7台が出動、隊員30人が消火にあたった。それを支えたのは地元の消防団だ。消防車両29台が現場に急行し、団員220人が避難の呼び掛けとともに、徹夜での放水作業などに力を尽くした。田畑団長は「団員のみんなにはよく頑張ってもらった」とねぎらった。

 被災者は8世帯13人。うち5世帯は60~90代の1人暮らしだ。山内町の倉橋久志自治会長は「地元でも被災された人の支援を続け、地域の絆を守っていきたい」と話している。

■がれき処理へ、市が補正予算方針

 今回の火災で被災した住民の生活再建に重くのしかかる課題の一つが、がれき処理だ。市は撤去費用を補助するため、補正予算を組んで市議会に諮る方針だ。

 火災現場のがれき撤去費用は原則、自己負担となる。今回はほとんどが延焼による焼損だったため、酒井隆明市長は「できるだけ被災者の負担にならないようにしたい」としている。

 被災者は現在、自宅の焼け跡の掘り起こし作業などを続けている。市社会福祉協議会を通して、災害ボランティアの派遣を要請した被災者もいる。市は掘り起こし作業終了後、重機などによって、解体・撤去を進める方針。

 2017年10月に同県明石市の大蔵市場で起きた火災では、市場の34戸や民家4戸など、延べ2830平方メートルが全焼。市は撤去助成費2300万円の予算を計上した。市が国や県と空き家撤去などを目的とした制度の活用を協議、特例で認められ、被災者の負担は2割となった。撤去完了は火災発生から7カ月の18年5月末だった。

■「家屋の密集」で過去に例のない大規模焼失

 今回の火災の焼失面積は約2200平方メートル。過去に例のない規模とされる。延焼の主な要因について、丹波篠山市消防本部は「家屋の密集」としている。

 被災者の中には、同消防本部が、隣接する同県の丹波、三田など各市と締結する「消防相互応援協定」を活用しなかった理由を問う声が上がっている。

 同消防本部は、応援協定について「主に市境で発生した災害や事故に対応するもの」とする。その上で「今回の火災は約2時間で鎮圧し、延焼を食い止める体制も完了していたため、要請を見送った」としている。さらに、近隣自治体から現場に到着するまで、少なくとも30分かかることも考慮したという。

 被災者説明会で、同消防本部の西井満消防長は「全勢力をつぎ込んだが、ここまで延焼が広がったのは残念」と、無念さをにじませた。

 現場出動時の気温は31・5度。平均風速3・2メートル、最大風速6・8メートル。西南西の風で、強風ではなかった。

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