丹波

  • 印刷
茶褐色に濁る籠坊温泉の泉源。炭酸がぶくぶくと湧き出していた=丹波篠山市後川新田
拡大
茶褐色に濁る籠坊温泉の泉源。炭酸がぶくぶくと湧き出していた=丹波篠山市後川新田
茶褐色の温泉につかり、リラックスする観光客=「国領温泉 助七」
拡大
茶褐色の温泉につかり、リラックスする観光客=「国領温泉 助七」
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 体を温め、心を癒やしてくれる温泉。兵庫の温泉といえば有馬や城崎だが、丹波地域にも泉質や温度、歴史が異なる四つの温泉がある。どのような仕組みで湧き出しているのだろうか。取材を進めると、意外な事実が浮かび上がってきた。

 丹波市の山あいにある温泉宿「国領温泉 助七」(同市春日町国領)。江戸時代の地誌「丹波志」にも「国領長谷に霊泉あり諸病効験あらたか」と記される名湯だ。舞鶴若狭自動車道春日インターチェンジからほど近く、京阪神を中心に観光客が訪れる。

 「ああ~、気持ちいい」。姫路市からドライブで訪れた会社役員の男性(69)のほおが緩む。新緑に染まる山の麓の静かな露天風呂。手のひらで湯をすくった。「有馬温泉みたいな色やな」

 国領の湯は有馬温泉のように、湧き出たばかりは無色透明で、空気に触れると濁っていく。なぜ色が変わるのか。国領の他にも、丹波地域にある草山、籠坊も同様に茶褐色だ。

   ♨    ♨

 「断定はできないが、丹波地域の温泉も、有馬と同じメカニズムで湧き出している可能性が高い」。そう推測するのは、神戸大学海洋底探査センター客員教授の巽好幸さんだ。マグマ学の第一人者で、2020年には巽さんらのグループが有馬温泉が湧き出すメカニズムを初めて解明した。

 日本で一般的なのは、地下水がマグマで温められた「火山性温泉」。だが、関西に活火山はない。日本列島付近の「フィリピン海プレート」の動きをコンピューターで再現すると、別のプレートの下に沈み込む際に内部の温度と圧力が高まり、海水が絞り出されて地表へと湧き上がることが分かったという。

 プレートの規模で見れば、神戸と丹波は極めて近い。国領など茶褐色の湯が湧き出る三つの温泉は、有馬と同じで鉄分や塩分、炭酸を含む。色が変わるのは、鉄分が空気に触れて酸化するためだ。

 巽さんはこう強調する。「日本どころか、世界でも極めて珍しいタイプの温泉。注目に値する」

   ♨    ♨

 湯が透明なのが、「こんだ薬師温泉」(丹波篠山市今田町今田新田)だ。行政のボーリング工事で掘り当てた。地下1300メートルからくみ上げる2カ所の源泉は、自然に湯が湧く他の3カ所とは成分が大きく異なり、変色もしない。

 きっかけは1995年の阪神・淡路大震災。地震後、県が県内全域の活断層を調査すると、旧今田町下の断層で温泉が湧きやすいことが分かった。同町は工費1億920万円をかけ、99年2月から約8カ月にわたって掘り進めた。

 「『出なかったらどうする』と批判されたが、掘ったらガバガバと湧いた」。旧今田町職員として工事を担当した長谷川正さん(67)=同市今田町=は振り返る。湧出量は毎分約600リットル、県内でも有数の湯量だ。「寂しい地域にも、温泉ができれば人が来る」と胸が躍った。

 04年2月に開館すると、1年5カ月で61万人が入浴。入場を一時規制するほどにぎわった。新型コロナウイルス感染拡大前には年間15万人が訪れた。

   ♨    ♨

 四つの温泉はそれぞれ起源が異なるが、共通するのは四季折々の豊かな自然。加えて、春は山菜、夏は川魚、秋は黒豆、冬にはぼたん鍋など、滋味あふれる料理も魅力だ。京阪神など都市部にも近い。知名度こそ低いものの、良質の温泉を求める観光客から根強い人気がある。(川村岳也)

丹波
丹波の最新
もっと見る
 

天気(7月1日)

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

  • 37℃
  • 22℃
  • 20%

  • 37℃
  • 26℃
  • 20%

  • 38℃
  • 25℃
  • 20%

お知らせ