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「農都のまほろば水路」として整備された新水路のうち、片側が土でできた「片側土タイプ」。黒い部分は「水田魚道」=丹波篠山市西本荘
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「農都のまほろば水路」として整備された新水路のうち、片側が土でできた「片側土タイプ」。黒い部分は「水田魚道」=丹波篠山市西本荘
谷舗吉紀さん
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谷舗吉紀さん
整備された新水路のうち幅が狭い穴あきタイプの「ヨシキモデル」=丹波篠山市西本荘
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整備された新水路のうち幅が狭い穴あきタイプの「ヨシキモデル」=丹波篠山市西本荘

 世界的霊長類学者、河合雅雄さんの遺志を継ぎ、兵庫県丹波篠山市が、水辺の生き物のすみやすい「農都のまほろば水路」づくりを進めている。同市西本荘地区では、景観や生物多様性に配慮した農村整備の一環として、底面や壁面に穴があいた排水路や「水田魚道」などを設置。市職員の尽力で生まれた市独自の排水路も登場し、18日にあったお披露目会で、酒井隆明市長は「丹波篠山からこのモデルを発信し広めていきたい」と力を込めた。(堀井正純)

 「まほろば」は「素晴らしい場所」を意味する古語で、市によると、「農都のまほろば水路」は、丹波篠山らしい環境に優しい水路の総称。生態系に配慮した水路整備は、同市出身の河合さんの提言などを受けた郷土づくりの一環という。

 西本荘の新水路は総延長39メートルで、地元の団体が整備した。設計などに市が協力し、事業費約364万円は、市が全額補助。昨年10月に着工し、今年3月末に完成した。

 老朽化した既存の水路はU字形のコンクリート製だった。新水路は、コンクリート製だが「穴あきタイプ」の排水路▽片側の壁面のみがコンクリートの「片側土タイプ」の排水路▽壁面に凹凸があり、カエルやヘビなどが登りやすい用水路-などを採用。排水路と田んぼをつなぎ、魚類が行き来しやすくする「水田魚道」も市内で初めて設けた。

 お披露目会では、地元関係者ら約20人が完成を祝い、水路の土手に城東保育園の園児たちが花の苗を植えた。「生き物と共生する農村地帯ができれば」と住民は喜ぶ。

 水路周辺には、ヨシノボリ、ドジョウ、イモリなどのほか、希少なセトウチサンショウウオも生息する。生物に配慮する場合、土のままの「素掘り水路」を残すのが理想だが、崩落や泥の堆積で維持管理に手間がかかる。市農都整備課は「土のままの水路を残していきたいが、営農や防災上の支障がある場合は、農都のまほろば水路で対応していきたい。環境と農業の両立を図れる」と話す。

 市は今後、数年をかけて岩崎、西谷地区など、市内の4地区で同様の水路改善を進める方針。

■独自構造の穴あき水路「ヨシキモデル」と命名 亡き職員が尽力

 「農都のまほろば水路」のうち、幅の狭い「穴あきタイプ」の排水路は、丹波篠山市のオリジナルだ。担当したのは、農都整備課係長の谷舗吉紀(たにしきよしき)さん。今年2月に43歳で急逝し、市は谷舗さんの名を冠して、「ヨシキモデル」とした。

 穴あき排水路は、底面の幅約30センチ、上部は幅約70センチ。流れが緩やかになるため、穴が空いた部分に土が入って植物が育ちやすく、魚など水生生物の産卵場や隠れ場になる。

 谷舗さんは1997年入庁。同僚によると、真面目で、農道や水路の整備に情熱を傾けていたという。丹波篠山市など中山間地域は小さな水路が多く、谷舗さんは現場に合うサイズにするため、メーカーとやりとりを重ねていた。しかし、今回の水路が完成する前に病気で亡くなったという。

 市の関係者は「各地でヨシキモデルは大いに役立つのでは。全国へ普及すれば」と期待している。

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