丹波

  • 印刷
事業所前で来訪者にゴーヤーの苗を配るキャストら=丹波市氷上町常楽
拡大
事業所前で来訪者にゴーヤーの苗を配るキャストら=丹波市氷上町常楽
商品に同封するカードに丸印を付ける。さまざまさまざまな作業に触れ、自分の得意なことを探す=丹波市氷上町常楽
拡大
商品に同封するカードに丸印を付ける。さまざまさまざまな作業に触れ、自分の得意なことを探す=丹波市氷上町常楽

 障害や病気がある人たちの就労移行支援事業所「志進館」(兵庫県丹波市氷上町常楽)を運営する一般社団法人「am*am(アムアム)」が、活動の幅を広げている。今年1月に始めたキッチントレーラーに続き、4月には就労継続支援B型事業所「B-up(ビーアップ)」を開所。志進館での就労を終えた人たちが同じ環境で仕事に励んでいる。代表の八尾由江さんは「慣れた場所でじっくりゆっくり、自分や仕事に向き合ってもらえれば」と話している。(谷口夏乃)

 志進館は一般企業への就職を目指す人たちをサポートするため、2019年にオープン。代表の八尾さんをはじめ、常駐のスタッフ11人が柔軟に対応する。これまで、9人が市内の企業などに就職、1人が進学を果たした。現在も10~30代の8人が通っている。

 就労移行支援事業所は法律で、利用期間は2年(最長3年)と定められているが、B型事業所は期間に縛られず利用できる。満了になったキャスト(利用者)が就職以外に選べる場として開所した。「B-up」は、志進館での学びをさらに深める位置付けで、キャストも当初の5人から8人に増えた。

 4月に志進館から「B-up」に移った男性(55)は交通事故で歩行が不自由になり、障害者手帳を持つ。事故前は理容店を営み、お客さんにこだわりのコーヒーも出していた。「もう一度理容店を開きたい」という目標を掲げ、市社会福祉協議会から紹介を受けた人やキャストらの散髪を担う。同法人が運営するキッチントレーラーではコーヒーも提供している。

 八尾さんは「これまで『せねばならない』という基準で選択してきたキャストたちが、自分の意思で『ここで頑張りたい』と言う。その意思を大切にしたかった」と目を細める。

 施設名「B-up」には、特技や強みを磨く「ブラッシュアップ」▽なりたい自分に向かってさらに学ぶ「バージョンアップ」▽多くの人に出会って経験を積む「ビルドアップ」▽B型事業所の平均工賃アップを目指す-という願いが込められている。

 「字が書けるようになった」と笑顔で話すのは、男性(21)。志進館に通った2年間で、平仮名だけでなく漢字も書けるようになった。「B-up」では、自身の強みである器用な手先に磨きをかける。ヒノキを使った健康器具の製造元から依頼を受け、木材の研磨作業を1人でこなす。男性は「自分にしかできない作業があるのはうれしい」と充実した表情だ。

 仕事の依頼は多種多様。工場で使う機械を借りて作業したり、商品として販売されるものを扱ったりと、一般的な仕事と遜色はない。その数は「キャストの体調や気分に合わせて選べるほど」にまでなった。農作業も指導を受けながら、季節野菜を育てている。

 八尾さんは「『施設だからこれくらいで』という思いはない。誰にでもできるような簡単な作業ではなく、難しくても社会で必要とされている『もの』や『こと』に挑戦してほしい。仕事や人に触れることが経験や自信につながるから」と話している。同法人TEL0795・88・5701

丹波
丹波の最新
もっと見る
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ