丹波焼の最新の研究成果を紹介する秋の企画展「丹波焼誕生-はじまりの謎を探る」が、兵庫県立考古博物館(播磨町)で開かれている。丹波焼のかめやつぼなどの出土品約200点を展示。今も東海地方で盛んに作られている常滑焼や渥美焼が平安時代に全国に広がる中、丹波地域では丹波焼として定着した経緯をひもとく。27日まで。(児玉芙友)
丹波焼の産地は、同県丹波篠山市の南西部に位置する今田町上立杭、同町下立杭で、約60軒の窯元が食器・花器等の民芸品を中心に生産している。瀬戸、越前、常滑、信楽、備前の焼き物と並び、縄文時代から続いた技術を継承する「日本六古窯(ろっこよう)」として、2017年に文化庁の「日本遺産」に登録された。
企画展では、須恵器から陶器へと移行する歴史や、丹波焼を他の産地の陶器と比べ、その特徴をパネルで紹介している。
長らく発生が不明だった丹波焼。1977年に初めて同市今田町下立杭で窯跡が見つかり、かめや、窯の中で他の焼き物を固定するための重り「焼台(しょうだい)」が出土した。
会場に展示されたかめの形状は、上部と下部は細く、中ほどは膨れている。また口部分の厚みは約3センチあり、平安時代の常滑焼や渥美焼に類似。焼台は東海地方でのみ普及していたもので、産地から職人が訪れて技術を伝えたと考えられる。
丹波焼独自の特徴も解説。同窯では、つぼやかめにチョウや菊を折り重なるように配置した模様を採用していた。一方、他の産地では無地のほか、鳥、人物を描いたものが一般的で、丹波焼の模様は華やかで独特だという。
同館の松岡千寿学芸員(53)によると、丹波焼の模様は同時期に作られ、京都に多く献上された銅製の和鏡にあしらわれた図柄と似ていると指摘。「和鏡と同じ図柄を刻むことで、一種のブランドとなり権力者に好まれたのでは」と推測する。
他にも同時期に東海地方から伝わり、渥美焼の影響を強く受ける越前焼(福井県)や、須恵器の工法を受け継いでうわぐすりを塗らない珠洲(すず)焼(石川県)の作品も展示。常滑焼や渥美焼の技術を基本としながら、丹波焼と同じく独自の発展を繰り返して複雑に日本各地に広がった陶器の様子を伝えている。
松岡学芸員は「長らく調査が行われてこなかった丹波焼の最新研究が分かる貴重な機会。ぜひ足を運んでほしい」と話した。
午前9時半~午後5時。大人500円、大学生400円、高校生以下は無料。月曜休館。同館TEL079・437・5589
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