兵庫県知事の許可なく農地に鶏舎を設置し、農地法違反などで県から農地に戻すよう是正勧告が出されていた丹波篠山市桑原の養鶏業者「高坂鶏農園」が、京都府京丹波町に鶏舎を移転したことが分かった。同農園は跡地で、ブルーベリー栽培を計画しているという。

　是正勧告の農地回復期限は１２月１１日。関係者らによると、同農園は鶏舎１０棟で最大約５５００羽を飼育していたが、同日までに鶏舎を移転。覆っていたシートは剥がされたが、鶏舎の骨組みなどは残されたままだという。

　市などによると、同農園は２０００年に桑原地区に農地を購入し、その後、養鶏を始めた。１６年ごろから鶏舎を増築したところ、周辺住民らが悪臭や騒音被害を訴えるようになった。市の調べで、鶏舎建設が無届けであったことが分かり、県は昨年、無許可で鶏舎を設置した農地法違反にあたるとして、是正勧告を出していた。

　同農園の悪臭問題を巡っては、同農園が市を相手取り、市が２０年１１月に出した改善命令の取り消しを求めて神戸地裁で係争中。また、地元住民と同農園の間で、県公害審査会の調停も行われている。