兵庫県丹波篠山市は、ふるさと納税の返礼品の“目玉”として、国史跡・篠山城跡の大書院を貸し切り、ディナーなどを堪能できる旅行プラン「殿様御成（おなり）体験／殿様御膳（ごぜん）」の提供を始めた。「城主気分」でもてなしを受ける１日１組限定の豪華ツアー。地元ガイドの案内で城下町を散策し、古民家を改修した「篠山城下町ホテルＮＩＰＰＯＮＩＡ」のスイートルームに宿泊する。

　大人２人一組の１泊２食付きツアーで、実施は４月１日から。寄付額は基本プランが１６１万５千円。大書院での狂言鑑賞や青山歴史村での香道体験を追加すると、３２２万７千円となる。

　市は当初、「お城ステイ」の宿泊プランを検討していたが、建築基準法などの法的な問題をクリアできずに断念。その代わりとして、大書院貸し切りプランを考案した。市担当者は「春と秋の行楽時期が中心となる。高付加価値のプランで、丹波篠山のＰＲや話題づくりにもなれば」と期待する。

　夕食は、華麗な障壁画で飾られ、通常は立ち入ることができない大書院の「上段の間」や「次の間」を利用する。藩主の謁見（えっけん）などに用いられた部屋で、篠山藩の記録にある江戸時代の供応（きょうおう）料理を参考に、現代風にアレンジしたディナーを味わう。天守台には野外バーラウンジを設け、星空を眺めながらカクテルなどが楽しめる。２日目は丹波焼の陶芸体験などを用意している。

　篠山城は江戸初期、徳川家康の命で西国の諸大名が動員され、築かれた「天下普請」の城。大名の書院としては破格の規模を誇る大書院は、天守閣のない城の中核となる建物で、藩の公式行事に使われてきた。１９４４年に失火で焼失したが、市民らの寄付で２０００年に再建された。

　城跡は、木村拓哉さんが織田信長役で主演した映画「レジェンド＆バタフライ」（公開中）のロケ地で、大書院は綾瀬はるかさんの控室にも用いられた。

　市は２２年度のふるさと納税の目標額を４億円に設定しており、近く動画投稿サイト「ユーチューブ」でＰＲ動画を公開する。「ぜひ、時代劇の気分を味わって」とアピールしている。