〈兵庫県丹波篠山（たんばささやま）市です。「たんばしのやま」ではありません（略）よくＴＶなど撮影に来てくれますが、間違われないことのほうが少ないです〉。丹波篠山市観光協会が１月末、ツイッターにこんな嘆きを投稿した。

　「丹羽」「笹山」と誤記されることもあるそうで、「しのやま」は、主に関東圏の人々が間違えるようだ。茨城県常総市篠山、栃木市藤岡町字篠山といった地名があり、篠山はいずれも「しのやま」と読む。

　人名では「しのやま」「ささやま」「じょうやま」の読みがあるが、写真家篠山紀信さんらの影響か、「しのやま」のイメージが強い。篠原（しのはら）、篠田（しのだ）など、「篠」＝「しの」で覚えている人も多いのだろう。

　丹波篠山市に隣接する三田市も、関東では「みたし」との誤読が少なくない。東京都港区に三田（みた）があるためだ。また、丹波篠山の渋谷は「しぶたに」だが、東京で渋谷はもちろん「しぶや」だ。「谷」のつく土地は、関東ではたいてい「や」、関西では「たに」と読まれるのだとか。

　ともあれ、「篠山」からの市名変更で、ブランド力が上がったと丹波篠山市は胸を張るが、東京方面ではさらなる知名度向上が必要なようだ。ちなみに、篠山の地名の由来は、篠山城跡がある小山「笹山」。ササが茂っていただけでなく「聖なる山（聖聖（ささ）山）」の意もあったとされる。江戸時代の表記は「笹山」「篠山」が混在していた。「丹波笹山」なら誤読も少なかった？