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かつて柏原高校の生徒たちが描いた絵を、本人や家族に返す荒木孝典さん=植野記念美術館
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かつて柏原高校の生徒たちが描いた絵を、本人や家族に返す荒木孝典さん=植野記念美術館
高校生の頃の作品を娘に見せる男性。「うまい。才能あると思う」と言われた=植野記念美術館
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高校生の頃の作品を娘に見せる男性。「うまい。才能あると思う」と言われた=植野記念美術館
1990年代後半、当時の柏原高校の生徒が授業で描いた自画像。髪形に時代を感じる=丹波市氷上町西中、植野記念美術館
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1990年代後半、当時の柏原高校の生徒が授業で描いた自画像。髪形に時代を感じる=丹波市氷上町西中、植野記念美術館
作品が作者に返却され、虫食い状態になった「『X+Y+2』展」の会場=丹波市氷上町西中、植野記念美術館
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作品が作者に返却され、虫食い状態になった「『X+Y+2』展」の会場=丹波市氷上町西中、植野記念美術館
柏原高校の生徒が1980年代後半に作った木彫。展示は生徒に返却し損ねた元教諭の荒木孝典さんが作者に返却する機会を設けようと企画した=丹波市氷上町西中、植野記念美術館
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柏原高校の生徒が1980年代後半に作った木彫。展示は生徒に返却し損ねた元教諭の荒木孝典さんが作者に返却する機会を設けようと企画した=丹波市氷上町西中、植野記念美術館

 柏原高校の元美術教諭で美術家の荒木孝典さん(68)=兵庫県丹波市=が、かつて授業で生徒たちに作らせ、返しそびれていた作品を返却するため、植野記念美術館(丹波市氷上町西中)で、作品展を開いた。7~12日、1980年代後半~2000年代に同校生徒が描いた絵画などを多数展示、最終日に作者に渡す時間を設けた。長年にわたる「うっかり」が、多くの人に旧友やかつての自分と再会する機会を生んだ。

 荒木さんは1987年から22年間、柏原高校に勤務。「X+Y+2展」と題した作品展は、同美術館が企画した自身の個展に併催。学校の美術準備室などに保管していた古い生徒の自画像や風景画、木彫など約240点を中心に公開した。

 未返却だったうち、3分の2は終業式などの時に生徒が取りにこなかった作品。残り3分の1は、出来がよかったため参考として借り、返し忘れていたという。

 「返却に熱心ではなかった私のせめてもの罪滅ぼしです」と荒木さんは少しばつが悪そうに企画の意図を説明。名前と住所の分かる卒業生約170人には事前にはがきを送り、来場を呼びかけていた。何人来るか少し不安だったが、最終日の午後2~3時、会場は懐かしげな表情の卒業生やその家族で埋まった。

 一組ずつ受付で名前を告げると、荒木さんが「あ、こっちこっち」と迷わず作品へと向かい、壁から外して手渡していく。「先生、覚えていますか」「おお、今はどうしているんや」。思い出話と近況報告にも花が咲いた。

 最終的に案内した人の4割に当たる約70人に返還できた。卒業生同士で20年以上ぶりの再会を喜ぶ人たち。作者に頼まれて風景画を受け取りにきたきょうだい。既に亡くなった子どもの自画像に会いにきた遺族…。それぞれが感慨に浸りながら、作品を見つめていた。

 「予想外に交流の場になった。『あの時の授業が今に生きています』という教え子たちの言葉に元気をもらった。協力してくれた関係者に感謝したい」と荒木さん。美術家としてよりも教師として長く生きてきた。「この作品展自体が、自分の自画像みたいなものなのかもしれない」

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