車もデザートも売ります-。兵庫県丹波市春日町野村の自動車修理販売店「グッド」の一画に、ジェラート店「ラ・ベラ・プリンチペッサ」がオープンした。同自動車店オーナーの息子で自動車整備士の吉森悠さん(29)と美姫さん(28)が夫妻で営む。ジェラートは、ハンバーガーの移動販売に続く飲食業への挑戦。地域の憩いの場づくりを目標に、根っからの明るい性格を前面に出し、突き進む。(伊藤颯真)
コンテナを改装した店舗では、水色やピンク色など12種類のジェラートが、ケースの中で冷やされている。材料は生乳に近い味わいの「丹波乳業」(丹波市氷上町石生)の低温殺菌牛乳を使い、濃厚な味わいだが、すっきりした後味に仕上げている。
お薦めの味は、宝石を意味するイタリア語の「ジョイエッリ」。ドライフルーツとナッツ類を混ぜ込んでおり、口に含むと舌触りや食感が次々に変化していく。「味には自信があるから、あとは売るだけ」と夫妻。秋には、地元ゆかりの大納言小豆味や黒豆きな粉味も投入する。
車の仕事と全く接点のないはずのスイーツ。異業種に挑んだきっかけは、丹波地域で数々の飲食店をプロデュースする「市島製パン研究所」(同市市島町喜多)の三澤孝夫さん(61)の一言だった。
2年ほど前、知人を介して同自動車店を訪れた三澤さんが、売り物のキッチンカーを見て言った。「これでハンバーガーを売ろう」。夫妻は言われるがままに2カ月後には「ヘルズバーガー」の屋号で、キッチンカーによるハンバーガー販売を開始していた。
「提案されたのでやってみました。おもしろそうで」と悠さん。さらに三澤さんが「ハンバーガーと一緒に甘い物が食べたい」と言い出した。夫妻は「なんとでもなる」と、勢いに任せ製造機械を備えたジェラート店を開いてしまった。「話がどんどん大きくなって。分からないことだらけで、ずっと手探り状態です」と笑う。
店名はレオナルド・ダビンチ作との説がある絵画のタイトル。イタリア語で、「美しき姫君」を意味する。美姫さんの名前にちなみ三澤さんが命名した。「『ラベプリ』の愛称で親しんでもらいたい」と夫妻。ジェラート作りを担う福島りえさん(51)=多可町=も「味だけでなく、私たちのトークでお客さんを楽しませたい」と朗らかだ。
ジェラートは店で美姫さんらが販売。土日にイベントがあれば、悠さんも手伝い、キッチンカーで売る予定。ハンバーガーの取り扱いも続けている。
シングル440円、ダブル550円(いずれも税込み)。カフェ利用は午前9時~午後4時。ケースのジェラートの販売は午前11時から。同店TEL0795・86・7080
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