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岩茶を手にする店主、小谷咲美さん=岩茶房丹波ことり
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岩茶を手にする店主、小谷咲美さん=岩茶房丹波ことり
武家屋敷を改装した岩茶房丹波ことり=丹波篠山市西新町
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武家屋敷を改装した岩茶房丹波ことり=丹波篠山市西新町

 「茶に酔う」。そんな経験の入り口となるかもしれない。兵庫県丹波篠山市の城下町のカフェ「岩茶房(がんちゃぼう)丹波ことり」(同市西新町)。武家屋敷を改装した、落ち着きのある空間で、奥深い中国茶の世界を堪能できる。清らかな香りに包まれ、しばし日常を忘れるのも悪くない。(堀井正純)

■太古の岩のミネラル

 「岩茶」とは、中国・福建省にそびえる武夷山(ぶいさん)で生育した茶葉からつくられたウーロン茶の最高峰。「武夷岩茶」とも呼ばれ、独特の芳香に富んだ名茶だ。

 「太古の岩のミネラルを吸い上げ、武夷山の水や霧、風、光で育った伝統のお茶。健康にも良い」と店主の小谷咲美さん。

 扱う岩茶は、高貴な香りの「白鶏冠(はっけいかん)」や四大名茶の一つ「水金亀(すいきんき)」など15銘柄(茶菓子付きで1600円から)。中国の人間国宝のような存在の茶師・劉宝順さんが手塩にかけた逸品だ。「ここ数年はコロナ禍で途絶えているが、毎年現地を訪ね、劉さんと交流して、出来たての岩茶をいただく旅を続けてきた」と小谷さん。味わうのは豊かな自然の恵み。決して安くはないが、それだけの価値のある高級茶だ。

 この日選んだ銘柄は「白牡丹(はくぼたん)」。「胃腸を整えるといわれます」と小谷さん。ちょこのように小さな茶杯から漂う香りは清らかで、どこか花にも似る。さわやかな風味。ほのかに甘みも…。後味、残り香もたまらない。

 何杯か賞味し、小さな急須に湯を注いで2煎(せん)目。「茶海」と呼ばれる、茶の濃度や温度を均一にする器へいったん注ぎ、茶杯へ。舌の上で転がすように味わう。5、6煎は飲めるといい、苦みやうまみなど、味の変化も楽しめる。

■異文化が溶け合う「場」

 現在の場所での営業は2010年秋から。篠山城跡近くの武家町だったエリアで、国重要伝統的建造物群保存地区となっている。

 店内の床は板張りで、松本民芸家具の椅子やテーブルが並ぶ。床の間もあり和洋折衷。異なる文化の溶け合う「場」となっている。

 用いる茶器は、小谷さんの父で、丹波篠山市在住の陶工・柴田雅章さんが手がけたもの。渋い色合いで店の雰囲気にもぴったりだ。

 小谷さんは岩茶を、東京の「岩茶房」で学んだ。主宰者・佐野典代さんに師事。佐野さんと劉さんの長年の信頼関係のおかげで、小谷さんも劉さんの岩茶を分けてもらえるという。「人は良いお茶に酔う」とは佐野さんの言葉。「茶酔」とは浮遊感があるような陶然たる境地らしい。

 岩茶のほか、中国粥(がゆ)と水ギョーザのセット(2300円)、中華風の蒸しカステラ「マーラーカオ」(450円)、皮から手作りする豚まん(400円)など自家製点心も人気だ。午前11時~午後5時。水・木曜休み。岩茶房丹波ことりTEL079・556・5630

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