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新兵庫人 第12部 負託に応える

(1-1)女性首長 「市民の視点」忘れず
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「市民に市政を身近に感じてもらう。それがわたしの最大の責務」と語る白井文さん。掲げる信条は初当選時から変わらない=尼崎市役所(撮影・峰大二郎)
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「市民に市政を身近に感じてもらう。それがわたしの最大の責務」と語る白井文さん。掲げる信条は初当選時から変わらない=尼崎市役所(撮影・峰大二郎)

「市民に市政を身近に感じてもらう。それがわたしの最大の責務」と語る白井文さん。掲げる信条は初当選時から変わらない=尼崎市役所(撮影・峰大二郎)

「市民に市政を身近に感じてもらう。それがわたしの最大の責務」と語る白井文さん。掲げる信条は初当選時から変わらない=尼崎市役所(撮影・峰大二郎)

 自宅から市役所まで1キロほどの道のりを、尼崎市長白井文(49)は毎朝、迎えの職員と一緒に歩く。「公用車で送迎」という市長登退庁の慣例は2002年、白井の市長就任とともに改められた。

 8年前の市長選。一騎打ちの相手は民主、自民、公明など5党の推薦、連合兵庫など約200団体の支持を受け、3選を目指す現職。一方、政党や団体の推薦も支持もない白井は、新しいリーダーの登場を待望する市民が支えだった。

 徹底して「市民の視点」をアピール、「尼崎を変える」という訴えにその輪は着実に広がっていく。結果は5千票差の勝利。「絶対不利」の前評判を覆し、全国最年少の女性市長(当時)が誕生した。

 しかし、選挙の経緯から野党議員が圧倒的多数を占める市会とは対立が続く。長野県知事だった田中康夫(53)にならって市政透明化の象徴とするはずだった「ガラス張り市長室」の公約も断念。任期ごとに支給される市長退職金の3500万円から500万円への大幅減額も2度にわたり否決され、自身のみに適用されるにとどまった。

 だが、「行政サイドの常識でなく、市民が身近に感じる市政にする」との白井の信念は揺らいでいない。なぜなら「わたしが選ばれたのは、それを期待されたから」だという。

 白井が政界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、1992年に発覚した尼崎市会ぐるみの「カラ出張」事件。視察に行ったように見せ掛けて旅費を着服する‐という不正行為の常態化に、怒りを抑えられなくなった。

 「同じ顔ぶれの議会では何も変わらない」

 議会の自主解散を受けた93年の出直し市議選に立候補し、当選を果たした。

 その後の市長選挑戦も含め、物おじしない「芯の強さ」のルーツとして、白井は12年間勤めた航空会社での経験を挙げる。

 親和女子高校(神戸市)を卒業後、白井はいったん入学した大阪外国語大へほとんど通わぬまま中退。全日空に就職、客室乗務員として勤務する。接客する上で新人も経験を積んだベテランも同じという世界で、知らず知らずのうちに身に付いた「プロ根性」が、「まじめで、おとなしかった」という白井の性格を変えたという。

 2期8年で市議を引退、人材育成コンサルタントとして働いていた白井に、知人らが市長選への立候補を要請したのも、白井なら「尼崎の閉塞感(へいそくかん)を打破できる」と信じたからだ。

 白井市政2期目は今年12月に終わる。3選を目指すのか、バトンを渡すのか‐。決断の時が近づいている。(敬称略)

2010/3/7
 

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