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 被災者生活再建支援法の成立を踏まえ、阪神・淡路大震災の被災者に支給されてきた「被災者自立支援金」の申請が、二十八日に締め切られる。受給世帯は今年二月までに、兵庫県の予想を上回る十四万千三百世帯を数え、支給総額は千三百六十四億円に上る。しかし震災の三年半後に制度化されたため、その間の生活変化によって被災者が支援の対象から漏れ、訴訟になったケースもある。締め切りを前に、県は全国の都道府県に広報を依頼。市民団体も「県外避難者や外国人をはじめ、情報の行き届いていない被災者はなお多い」と行政による情報提供の徹底などを訴えている。

 同制度は、自然災害被災者の生活再建支援策として一九九八年に成立した「被災者生活再建支援法」の付帯決議に基づき、阪神大震災の被災者向けに創設された。財源は県と神戸市が設立した復興基金。住居が全半壊(焼)して解体を余儀なくされたことに加え、所得や年齢など一定の要件を満たす世帯が対象だ。

 震災で、県内では約四十四万世帯が全半壊したが、受給した世帯はその三分の一。月ごとの支給額(グラフ)は、支給が始まった九八年十一月が最も多く、約十一万世帯に八百四十六億円。生活再建支援金など自立支援金に統合された既存制度の支給額と合わせると、最初の月で千四十九億円に上った。

 その後は、九九年二月と五月に支給額が増加。支援金支給は恒久住宅への移転を条件とするため、県生活復興課は「年末や春の引っ越し時期に、公営住宅など大規模な入居が重なったためでは」と分析している。

 大阪府も同じ制度を実施しており、今年三月現在、約五千五百世帯に総額四十二億円を支給。申請も兵庫県と同時に締め切る。

 制度化が遅れたことに加え、収入や年齢の制限で対象から外れた被災者の不満は今も根強い。震災後の世帯変更で、被災しても支給されない場合があり、市民団体は県などに支援枠の拡充を再三要望。神戸市と復興基金を相手取った裁判も争われている。

 申請締め切りが迫り、県や市の担当課には三月から問い合わせが増加。神戸市の窓口には、日に二十~三十人が訪れ、職員は電話対応に追われる。新たな申請書類も、一日二十・五十通程度届くという。

 相談窓口を開く市民団体「公的援助法」実現ネットワークの中島絢子事務局長は「制度に矛盾を残したまま、申請を締め切るのは納得できない。内容を詳しく知らずに申請をあきらめている人もおり、行政は被災者への情報提供を徹底すべきだ」と話している。

2000/4/17
 

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