宝塚とっておきコラム
今回からこのコラムをお届けすることになりましたアナウンサーの中井美穂です。演劇が大好きで年間250本以上観劇していますが、中でも宝塚歌劇には特別な魅力を感じています。
というのも、2003年から18年間も!「宝塚カフェブレイク」というタカラジェンヌをゲストに迎え、話を聞く番組の司会をしていることが大きいかと思います。毎公演、必ず足を運び、同じ演目を何回も見ることも。実際にいま舞台に立つタカラジェンヌからリアルな話が聞けるので、さらに細部まで目が行くようになりました。
創立107周年を迎え、国内外に公演を生配信し、ますます多くの新しいファンを獲得し続ける宝塚歌劇団。一体何がそんなに人々を引きつけるのか。沼にハマるが如く宝塚歌劇にハマった私が主観1000パーセントで語っていきます。
私が初めて見たのは、1995年東京宝塚劇場で上演された月組の「ハードボイルドエッグ」でした。
当時の私は宝塚は、「ベルサイユのばら」のような時代がかった作品ばかりだと思い込んでいました。ところがこれは現代物で、どこにでもいるような普通の男性が主人公。戦争も革命も心中も大恋愛もない日常が描かれていました。そのことにまず驚き、なによりも主役のアレックスに一目ぼれ。情けないところも酔っ払ったところも悩んでばかりのところも女性に不器用なところも、とにかく全てがすてき。そこにいるアレックスに恋をしてしまったのです。
元々中学、高校と演劇部だった私は宝塚歌劇にはどこか、気恥ずかしい思いがありました。テレビで見る宝塚は派手なお化粧に大げさな演技、女性なのに男性のフリをしている、ちょっと変わった集団だと思い込んでいたのです。
ところが「ハードボイルドエッグ」の世界はあまりにも自然にそこにありました。主役のアレックスを演じていたのは当時の月組トップスター天海祐希さん。初めての出会いが天海さん率いる月組だったこと、そしてこの現代的な作品だったことが私にとっては宝塚歌劇へのバイアスを外してくれたのだと思います。
25年以上見てきて思うのは、宝塚歌劇の男役は、男性のフリをしているのではなく、男役という、宝塚にしか存在しない独特な性を生きているということ。それは、娘役も一緒。
言ってみれば「宝塚星」という惑星があり、そこは世界が男役と娘役というひとたちで構成され、私たちは宇宙船に乗ってその星に旅するように劇場に足を運ぶのです。
▽なかい・みほ 1965年東京都出身。フジテレビアナウンサーを経て、現在もテレビ・ラジオ番組で活躍。歌舞伎から小劇場、ミュージカル、宝塚など観劇の対象は幅広い。
2021/10/16
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