三田

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ドイツで整形靴を作る北川大介さん
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ドイツで整形靴を作る北川大介さん
ドイツでの整形靴の製作工程について説明を受ける学生たち=神戸医療福祉専門学校
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ドイツでの整形靴の製作工程について説明を受ける学生たち=神戸医療福祉専門学校
北川さんが作った整形靴。着物の生地を使用している(提供)
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北川さんが作った整形靴。着物の生地を使用している(提供)
北川さんが勤める義肢装具会社(提供)
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北川さんが勤める義肢装具会社(提供)

 新型コロナ禍でドイツへの修学旅行を中止した代わりに、オンラインで現地の状況を知ってもらおうと、日本で唯一「整形靴」の作り方を学べる神戸医療福祉専門学校三田校(兵庫県三田市福島)はこのほど、整形靴科の2年生26人と留学中の卒業生をテレビ電話でつないだ。ドイツは靴作りが盛んな国で知られ、生徒たちは画面越しに製造施設を巡り、日本との違いや現地での暮らし、コロナ事情などを聞いた。(喜田美咲)

 「この部屋は、できた靴を試しに履いて歩いてもらうところです」

 ドイツ・ニュルンベルクにいる卒業生の北川大介さん(28)が、自宅から自身の勤める義肢装具会社を動画や写真で紹介すると、生徒たちは真剣な表情で見入った。

 整形靴とは、足の病気や変形に悩む人に向けて作られるオーダーメードの靴だ。ヨーロッパの職人は「マイスター」と呼ばれ、医療系の国家資格が必要。北川さんは取得を目指して働きながら勉強を続けている。

 同科では毎年10月中旬に2年生が1週間、ドイツで整形靴の学会に参加したり、靴を作る施設で器具の使い方を教わったりしている。今年はコロナ禍で中止になったため、北川さんがオンラインで案内してくれることになった。

     ◇

 足を採寸して木型を作り、仮の靴でフィット感を確認してから納品する流れは同じだが、日本は石こうで足の型を取ることが多く、ドイツは樹脂で作るのが主流。北川さんが「インソール(中敷き)は年間7千足も作るんです」と明かすと「そんなに…」と驚きの声が上がった。

 「デザインと機能性をどう両立させていますか」。学生がそう聞くと「機能性の上にデザインを載せる。必要な機能を考えると形が決まるので、その形をおしゃれに見せるデザインを考えます」と丁寧に答えた。「日本は黒や茶色が好まれるが、こっちでは黄緑とか派手な色の注文も多いです」とも付け加えた。

 また、新型コロナに触れて「ニュルンベルクは今、コロナでロックダウン手前の状態です」と説明。娯楽施設は閉鎖し、レストランはテークアウトのみになっているとし、ロックダウンになった時には政府が給料を最大6割補償してくれる制度もあったという。

     ◇

 北川さんは三田で過ごした頃を振り返り、生徒たちにエールを送った。

 「学生時代が一番自由に靴を作れる。今を楽しんで、知れば知るほど面白くなってきますよ」

 やりとりを終えて吉村隆史さん(32)は「日本の整形靴は地味なものが多いが、客の期待に応えるデザインも作れると分かってよかった」と話した。同科の山岡哲也さん(26)も来春からドイツに渡る予定だという。「マイスターになるというモチベーションを持ち続け、語学の勉強もしておきたいと思えた」

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