うららかな春の陽気に包まれた24日、兵庫県三田市内20の小学校で卒業式があった。全校児童11人の母子小学校(同市母子)では、3人の児童が旅立ちの日を迎えた。式の後も校庭を駆け回り、恩師や在校生との別れを惜しみつつも、「たくさん友達を作りたい」と中学校生活に期待を膨らませる。(喜田美咲)
卒業したのは今北紗來(さら)さん(12)▽二川美里さん(12)▽山上砂愛(さあら)さん(12)-の3人。
新型コロナウイルスへの対策として、式には在校生が出席できず、広い体育館に並んだ3人を教員と保護者が目いっぱいの拍手で祝った。
卒業証書を受け取った今北さんは「先生や家族に支えられてここまで来られました。部活や勉強が大変になるけれど、感謝の気持ちを忘れずに中学でも頑張ります」と決意を新たにした。
小山浩和校長は、「地域の人に行事へ来てもらえず、制限の多い1年だったけれど、みなさんはいつも元気で周りを笑顔にしてくれていた」と激励。「自信を持っていろんなことに挑戦していってほしい」と3人に呼び掛けた。
教室の黒板には担任の山崎丈教諭が5時間かけて描いた3人の似顔絵。教室を出ると、教員らがハンドベルを演奏しながら見送り、校舎の外には在校生や地域住民が詰めかけた。
抱きついてくる下級生に笑顔で応えながら、二川さんは「放課後は毎日3人で鬼ごっこをしたし、卒業文集のアイデアもみんなで出し合った。(在校生に)『友達と協力すれば何でも乗り越えられるよ』と伝えたい」と話した。
けんかをして「もう口をきかない」と言って帰っても、次の日には忘れて遊んだ。一輪車で輪になる練習をしたり、修学旅行は同じ部屋ではしゃいだり。いつも3人一緒だった。
4月からは上野台中学校に進み、志手原小(同市志手原)や小野小(同市小野)、高平小(同市下里)の卒業生と共に学ぶ。「3人で横1列に座っている時間を、もう少し過ごしたかった」と山上さん。「でも、中学ではたくさん友達を作って、全校生と知り合いになろうと思います」と笑顔で話した。
