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ウエディングドレス姿で車いすから立ち上がる増金望美さん=三田市福島(撮影・斎藤雅志)
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ウエディングドレス姿で車いすから立ち上がる増金望美さん=三田市福島(撮影・斎藤雅志)
家族らが見守る中、カメラに笑顔を向ける=三田市福島(撮影・斎藤雅志)
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家族らが見守る中、カメラに笑顔を向ける=三田市福島(撮影・斎藤雅志)
普段は控えている口紅を塗って笑顔=三田市福島
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普段は控えている口紅を塗って笑顔=三田市福島
母眞澄さんに抱えられ、脚を前に出す練習をする望美さん=尼崎市西大物町
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母眞澄さんに抱えられ、脚を前に出す練習をする望美さん=尼崎市西大物町

 純白のドレスに身を包み、手の中のブーケへ目を落とす。木々を流れる風がベールを揺らす。ふんわりとほほ笑んだその時、シャッターが切られた。兵庫県三田市の増金望美(のぞみ)さん(34)が、ウエディングドレス姿を写真に収める「ソロフォトウエディング」に挑戦した。脳性まひと知的障害があり、1人で立ち上がることはできないが、この日は周囲に支えられ、とびっきりの笑顔をレンズへ向けた。「長年の憧れがかなって、本当に夢のような時間」。いつにも増して弾んだ声に、家族の顔もほころんだ。(喜田美咲)

 会場に選んだのは、自宅にほど近い有馬富士公園(同市福島)。満開の花を背景に。教会のように石柱が立つ階段で。家族や幼なじみら約10人も一緒に、2時間ほど園内で撮影した。

 支えなしで芝生の上に座っていられたり、少し冷たい風が吹いても「全然気にならない」と笑ったり。望美さんの凜とした様子に、家族も「なんで今日はそんなに姿勢がいいの~」とびっくり。幼なじみとのツーショットでは、ちょっぴり照れながらも顔を見合わせてほほ笑んだ。

 ドレスは望美さんの希望通り、肩ひもが無いタイプで、胸元や腰に花の飾りがあしらわれている。ラメ入りのアイシャドーやピンクの口紅を使ったメークは「シンデレラ風」。髪は緩く巻き、左側にまとめた。

 普段はリハビリを手伝ってくれるヘルパーの服を汚さないよう、遠慮して付けない口紅や、上向きにカールさせたまつげも、初めてしっかり施した。色を重ねてもらうたび、何度も鏡に目をやり、「ほんまにこれがうち?」と体を揺らした。

    ◇

 望美さんは幼い頃から介助を受けながら、車いすで生活してきた。三輪小学校を卒業した後、中学2年からは同県朝来市の和田山特別支援学校に通った。その後は福祉作業所で紙袋の持ち手の取り付けやろうそくの箱詰めをするほか、月2回、リハビリテーションセンターで体を動かしている。

 5年ほど前から、以前より体力の低下を感じるようになった。「一瞬一瞬を大切にする。私の今を、ウエディングドレス姿で残したい」。弟3人との4人きょうだい。一人娘として両親にドレス姿を見せたい気持ちもあり、ドレスを着て撮影してくれる人を探した。

 写真館や結婚式場など、フォトウエディングプランを提供する場所はたくさん見つかった。しかし、障害のある人向けに準備段階からサポートしてくれる所はなかなか見つからなかった。そんな時、知り合いのヘルパーから障害のある人や性的少数者に特化して開業した「つなぐWedding」の存在を聞き、利用を決めた。

    ◇

 夢をかなえた望美さん。実はもう一つ、願いがあった。それは、母眞澄さん(55)にベールダウンをしてもらい、父優(まさる)さん(63)とバージンロードを歩くことだった。「親孝行ではないけれど、いつも支えてくれている両親に喜んでもらいたかった」

 両親を驚かせるため、思いを秘めたまま、歩行練習を重ねた。人の支えがなければ立ち上がれない。足を踏ん張るのも難しいが、約1週間前のリハビリでは、いつもより目に力を込めて取り組み、この日のために準備した。

 「これが最後の撮影になります」。それまで曇っていた空から、筋状の光が差し込んだ。スタッフの言葉を合図に、弟信幸さん(31)らに支えられ、望美さんが立ち上がる。察した父も娘に近寄り、一緒に歩みを進めた。優さんは目を潤ませながら、一歩一歩をいとおしそうに見つめた。

 撮影を終えた望美さんは「支えてくれたみんなにありがとう、大好きって伝えたい」。そして、こう話した。「障害があっても、ウエディングドレスに憧れている人はいる。私の姿で、『自分にもできるんだ』『挑戦してみよう』と勇気付けられたらうれしい」

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