三田

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畑荒物店の外観=三田市三田町
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畑荒物店の外観=三田市三田町
改装した蔵で古いポットを持つ畑光さん。古道具などがずらりと並ぶ=三田市三田町
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改装した蔵で古いポットを持つ畑光さん。古道具などがずらりと並ぶ=三田市三田町
写真上からマグマ大使などの弁当箱、故美空ひばりさんが載った看板、力士やキャラクターのメンコ
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写真上からマグマ大使などの弁当箱、故美空ひばりさんが載った看板、力士やキャラクターのメンコ
木製の箸箱=三田市三田町
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木製の箸箱=三田市三田町
年代物のアルミの水筒=三田市三田町
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年代物のアルミの水筒=三田市三田町

 令和になって3年になるが、その荒物店は昭和のまま時が止まったようだった。今年で40歳になる記者が生まれるより、ずっと昔の昭和。昼食を終えて神戸新聞北摂総局(兵庫県三田市)の周辺をぶらりと歩いていると、店先にぶら下がった古いアルミの水筒を見つけ、思わず足を止めた。(土井秀人)

 鮮やかな青色がかわいらしく、どうやら子ども用のよう。名前や学年を書くための札が付いている。何十年もつるされているのか、革ひもは日焼けして所々ひび割れていた。

 店のひさしには「日用品一式 畑荒物店」とある。店内に目を移すと、やかんやほうき、かご、帽子などの商品が所狭しと並ぶ。

 水筒は、アウトドアにお酒を持っていくのにぴったりだ。購入しようと声を掛けると、店主の畑光(あきら)さん(71)が苦笑いした。

 「すみません、それ売り物じゃないんです」。親の代に仕入れた商品が残っていたが、レトロ好きな客が時折買っていき、少なくなったため売るのをやめたという。

 「どこから来られました?」と尋ねられ、話しているうちに、店の歴史について教えてくれた。

    ◇

 終戦前、畑さんの両親が開業した。「昔はこの辺りがメインストリートだったから、何でもそろったんですよ」。銀行、楽器、薬局、ガラス、たばこ、氷、駄菓子、建具…。ずらりと店が並び、多くの人が行き交った。

 しかし時代は流れ、周囲の店は次々とシャッターを閉じていく。平成に入ったころ、店を切り盛りしていた母が亡くなった。父も体調を崩し、店のシャッターを1枚だけ開けてほそぼそと続けるようになった。

 「商売で育ててくれた親、地域への感謝があった」。畑さんは店を継ぐ決意をしたが、当時は公務員として働いていた。「定年後にやりたい」と姉にお願いすると、それまでの間を引き受けてくれるという。

 商売が嫌でサラリーマンに嫁いだ姉だったが、始めるとのめり込んだ。旅先でも商品の買い付けをし、目利きした品が売れると喜んだ。

 そんな姉が5年前、がんを患い72歳で亡くなった。畑さんが見舞いに行くと、病床でほほ笑んだ。「本町(店のある通り)での商売、楽しかったわ」

 そして畑さんが本格的に店を引き継いだ。「両親と姉が蓄えてくれた在庫がたくさんある」といい、採算は度外視だ。

 1日に2~3人来るお客さんには積極的に話しかける。「買い物してもらうだけでなく、また来てもらえるようにしたい。お客さんが少ない分、一人一人が大切」。姉から受け継いだ商売の心得だ。

    ◇

 「古くて面白いもの、いっぱいあるんですよ」と、畑さんが店の奥にある蔵に案内してくれた。3年前に改装し、年代物の商品や家にあった骨とう品を展示。興味のありそうな客に公開しているという。

 マグマ大使や「ミスタージャイアンツ」の絵が描かれたアルミ製の弁当箱、木製の箸箱、美空ひばりさんの看板、メンコ…。ちょっとした博物館のようで、市内の小学生が授業で見学に来ることもあるという。

 倉庫にあるものは、基本は非売品。店内に並べていても、水筒のように売ってない品物もある。「でも、本当にほしい人に頼み込まれたら、売っちゃうこともある。それで後から悔やむんですよ」と、いたずらっぽく笑った。

 午前9時~午後5時半(水曜、日曜日休み。祝日は営業)。三田市三田町28の20。同店TEL079・562・2472

三田

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