兵庫県三田市の写真家宇田川洋二さん(68)が、20代の頃に登頂したネパール中部・ヒマラヤの高峰「ダウラギリ2峰」(標高7751メートル)での登山記録を紹介する写真展を、けやき台1のウッディタウン市民センターで開催している。27日まで。(小森有喜)
宇田川さんは20歳の頃に活動を始めた。当初は身の回りの風景を被写体にしていたが、近所の写真店で見た北アルプス・槍ケ岳の写真に心を引かれ、山岳写真に興味を持った。
「非日常的な迫力ある写真を撮りたい」。すぐに勤め先の山岳部に入った。カメラや三脚など、他のメンバーより5キロほど重い荷物を背負って山に登り、撮影するようになった。
最初は歩を進めることで精いっぱいだったが、経験を重ねるうちにシャッターチャンスを待つ余裕もできた。数年すると、山岳雑誌にも作品が載るまでになった。
今回、新型コロナウイルス禍で増えた在宅時間を生かし、昔のネガフィルムをデジタル化した。26歳の時、初の海外登山として、ダウラギリ2峰に挑戦した際の写真73枚を紹介。当時の手帳にしたためた記録と重ね合わせながら、日付や地点を整理した。
ネパールの首都カトマンズを出発してから、帰還するまでに要した日数は約2カ月間。写真では、切り立った尾根を間近で捉えたものや、標高8167メートル(世界7位)の「ダウラギリ1峰」がかすみ見える壮大な写真も目を引く。ピッケルで氷を削って足場を作りながら、急峻(きゅうしゅん)な斜面を登る姿を捉えた作品も。夕暮れ時に、連なる山々の頂上付近だけが照らされた幻想的なものや、カトマンズから麓まで向かう途中の村で出会った人々の表情を写した作品もある。
この時は7300メートル付近まで登り詰めたものの、体調を崩して頂上まで行くことができなかった。それでも「大自然の壮大なスケールを捉えることができた」と振り返る。
今でも登山を続けている宇田川さん。6年前には、日本百名山の全山登頂を達成した。宇田川さんは「山に情熱を注いだ青春の1ページを見てもらえたらうれしい」と話している。
午前9時~午後5時(27日は同1時まで)。
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