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集めた生き物たちの水槽や虫かごを見つめる奥野仁君(右)と向志さん=三田市川原
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集めた生き物たちの水槽や虫かごを見つめる奥野仁君(右)と向志さん=三田市川原
手作りの池ではフナやウナギが泳ぐ=三田市川原
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手作りの池ではフナやウナギが泳ぐ=三田市川原
近くの道端で見つけたクサガメ=三田市川原
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近くの道端で見つけたクサガメ=三田市川原
植木鉢の中に隠れる魚=三田市川原
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植木鉢の中に隠れる魚=三田市川原
コロナでの休校期間中に作った生き物図鑑=三田市川原
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コロナでの休校期間中に作った生き物図鑑=三田市川原

 兵庫県三田市川原、県道37号を東へ曲がってすぐのところに、気になる看板がある。「仁とじいじのおたから生き物館」。中をのぞくと、現れたのは小学生の男の子。そこには昆虫や魚など、少年の「大好き」がたくさん暮らしていた。(喜田美咲)

 「これはトカゲです。しっぽが長いでしょ。トカゲといってもカナヘビなんです」「池にいるのはオイカワ。群れを作って泳ぎ、大きな魚から身を守っています」「カワムツの雄のうろこはピンクで、これは婚姻色といって雌にアピールする色なんです」

 次々に説明し、うんしょ、と身長より高い棚にある虫かごを持ち上げて中を見せてくれる。この少年が、館のあるじで三輪小学校3年の奥野仁君(8)。

 約20平方メートルの木造の小屋で陸上や水中の生き物16種類約90匹を育てる。そこは仁くんの祖父、向志(ひさし)さん(69)の自宅敷地内で、長年使われていなかった鶏舎を2人で作り替えた。

 館内には魚用の2平方メートルの池が三つと、虫かごが並ぶ棚など三つのコーナーがある。壁に張った紙には生き物の説明や小屋を作った経緯などがぎっしりと書き込まれている。

    □    □

 仁君が生き物に興味を持ったのは保育園の年中の頃。向志さんと川に行った時だった。「じいじがカニを捕まえたけど、はさみに挟まれて逃がしちゃった。それから、また捕まえてみたくなった」。その後、家の勝手口で見つけた小さな亀を飼い始めると、どんどん生き物が好きになり、向志さんと川へ通うようになった。

 田んぼや用水路にも足を運んだ。網ですくったり、えさを入れたわなを仕掛けたり、いろんな方法を試した。捕まえた生き物は図書館の図鑑で調べ、名前や生態を覚えた。

 新型コロナウイルス感染症の影響で休校になった昨春、ほとんどの時間を祖父の家の周りで過ごした。その間、育てていたザリガニやバッタなどをまとめた「仁の生き物図かん」を作成。身近に生きる外来種も記録した。例えばブラックバス。「おおきくなると40センチになります。小ざかなの水そうに入れると、ぜんぶ食べるかもしれない」と紹介し、「もしつかまえたりしたら、そのままかってください」と在来種の生態系を守るようにも呼び掛けている。

 コイやウナギなど大きく成長する種類も飼いたくなり、池がほしくなった。飼育方法を調べると、「あまり直射日光が当たってはいけない」とある。孫から懇願された向志さんは一念発起し、今年1月、使っていなかった築60年以上の鶏小屋を仁君と改造し始めた。

 積まれていた板を池の枠や棚に活用。奥には「タイムスリップコーナー」を作り、昔の農具をそのまま展示した。3月に完成し、家族の投票で名前を決定。5月4日、家族や友人を招き、竣工(しゅんこう)式を開いた。

    □    □

 以来、週末はほぼ生き物館で過ごす仁君。池にはパイプを沈め、魚の隠れ家を作った。藻が繁殖しすぎないよう、水槽には藻を食べるタニシを入れるなど工夫を凝らす。知識が増えるたび、説明も熱を増す。

 とはいえ、館長の本業は小学生。平日は向志さんが生き物たちを世話する。意見が食い違うこともしょっちゅうだが、「ゲームよりも外で遊ぶのが好きな子で、農作業も手伝ってくれるんです」と一緒の時間を楽しむ。

 「もっと種類を増やしたい」と祖父母を驚かす仁君。将来の夢はというと生物学者ではなく、農家なんだとか。理由は「コンバインに乗れるから」。生き物は趣味で飼い続けるという。手のひらにクサガメを乗せ、「集めたい生き物はたくさん。いろんな人が見に来てくれたらうれしい」と笑った。

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