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三田市民病院=三田市けやき台3
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三田市民病院=三田市けやき台3
済生会兵庫県病院=神戸市北区藤原台中町5
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済生会兵庫県病院=神戸市北区藤原台中町5
北神・三田地域の急性期医療の確保について話し合われた検討委員会の初会合=神戸市内
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北神・三田地域の急性期医療の確保について話し合われた検討委員会の初会合=神戸市内
神戸新聞NEXT
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「統合NO!」と掲げて開かれた市民集会=神戸市北区藤原台中町1
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「統合NO!」と掲げて開かれた市民集会=神戸市北区藤原台中町1

 三田市民病院(兵庫県三田市)と済生会兵庫県病院(神戸市北区)の再編統合も視野に入れた検討委員会が、6月に第1回会合を開いた。両病院の院長を始め、神戸大学医学部付属病院長など関係する機関のトップや学識経験者らが一堂に会して意見交換した。発言をたどりながら、現状と課題を整理する。(土井秀人、喜田美咲)

 まずは両病院の立ち位置を確認する。兵庫県三田市は2017年に発表した「市民病院改革プラン」で、「急性期病床の再編統合を行うことが必要」と明記。改革プランを受け、市の審議会は19年に「急性期医療を提供するためには、病院の規模拡大を図らなければ不可能な状況」などとする答申を出した。

 一方の済生会兵庫県病院は昨年12月、三田、神戸市との3者協議の場で「単独で、将来的に地域の基幹病院として急性期医療を維持・継続していくことは困難」と報告している。

 検討委では、両病院長が医師確保の難しさを強調した。

 済生会兵庫県病院・山本隆久院長「今後5年、10年先を考えて今の急性期医療を持続発展していくためには、医師の確保が最も重要。根幹からの議論が必要だ」

 三田市民病院・荒川創一院長「私たちは神戸大の関係病院として医師派遣をしてもらっている立場。教授の所に行って何回も派遣をお願いしているが、『300床規模の病院で、今の状況では人は出せない』と言われる。『400床、それ以上でないと派遣は難しい』と」

 市民病院には臨床研修医を除く69人の医師がおり、うち59人は神戸大からの派遣。医師確保のほとんどを神戸大に頼っているのが現状だ。済生会兵庫県病院も主に神戸大から派遣を受けている。

 では、派遣する側の神戸大はどう考えているのか。同大学医学部付属病院・眞庭謙昌院長は検討委でこう言った。

 「医師を送り出す立場だが、我々も確保に困っている。今後それぞれの病院に専門性を持った医師を、全領域に派遣するのは困難になる。一緒になる形で医師を派遣するのが、我々にとっても合理的で、ありがたい」

 なぜ医師確保が課題となっているのか。

 理由の一つが、18年度に導入された「新専門医制度」の影響だ。2年間の臨床研修を終えた医師が専門医の認定を受けるためには診療実績を積む必要があり、機会の多い大規模病院に集中する傾向がある。県内の公立病院では再編統合が進んでおり、市民病院改革プラン推進課は「医師の獲得合戦はすでに始まっている」とする。

 さらに24年からは「医師の働き方改革」が始まる予定。残業時間の上限を「年1860時間」とした上、連続勤務時間を原則28時間にするなど、勤務が制限される。神戸大医学部付属病院の眞庭院長は検討委で「対応には大学病院でもかなり苦労している。今の済生会、市民病院の医師数で救急を含めて対応するのは困難ではないか。人材の集約化は不可避で、喫緊の課題」とした。

 市民病院関係者の脳裏をよぎったのは、04年に導入された「新臨床研修制度」の経験だった。

 同制度では、若手医師が自由に研修先を選べるようになった。従来のように大学に残らなくなったため、人手不足に陥った大学が派遣先から医師を引き揚げることが相次いだ。三田市民病院でも小児科医が辞め、脳外科と腎臓内科では医師がいなくなり、約2年間閉鎖する事態に陥った。

 改革プラン推進課は「300床のままの市民病院では医師が集まらず、将来的に三田の急性期医療を維持できなくなる。検討委の報告を踏まえ、方針を示したい」と強調した。

■厳しい経営状況背景 赤字拡大、伸び悩む患者数

 再編・集約化が議論される背景には、両病院の厳しい経営状況も影響している。

 三田市民病院が現在の場所で開院した1995年以降、2019年時点での赤字の総額は95億2400万円となり、その間、黒字となったのは5年だけだった。

 さらに市は、病院の建設費用の返済などを含め、毎年10億円以上を補助金として支出しており、19年までの補助金の総額は425億9500万円に上る。

 市民病院改革プラン推進課は「市民の安心安全を守るため、周産期医療や救急、小児科など採算が合わない部門も抱えなければならない」とした上で、「市の財政状況では補助をする限界を超えている。医療体制を守りながら経営改善を図らなければならない」と説明する。

 一方の済生会兵庫県病院も経営状況が悪化している。医師の増員が図れないため、ここ3~4年は患者数が伸び悩んだ。少子化に伴う周産期医療の収益悪化もあり、「近年大幅な赤字が続いており、抜本的な対策が早急に必要」としている。

■進む老朽化 建て替えも難しく

 ほぼ同時期に建設された両病院には、施設の老朽化も課題としてのしかかる。

 病院は24時間体制で稼働するため、他の公共施設に比べ、早く傷む傾向がある。伊丹市が設置した委員会の調査では、自治体病院が建て替わるまでの平均年数は約39年だった。また、常に入院患者がいるため、大規模改修が難しいという側面もある。

 三田市民病院は開院から26年が経過。建て替えや大規模改修の検討が必要な時期だが、改革プランで「再編統合が必要」との方針を示したこともあり、現在は必要最小限の修繕で対応している。

 済生会兵庫県病院も建設から29年が経過した。今後は老朽化対策に多額の投資が必要となる。ただ、経営悪化などで資金を準備できず、「単独で急性期病院として建て替えるのは難しい」としている。

■存続求める市民団体も 「説明会開くべき」と主張

 三田市が2017年、病院の再編統合が必要と明記した「改革プラン」を示したことを受け、一部の市民グループが統合反対や両病院の存続を訴え活動を続けている。6月27日には「計画の段階から市民の意見を聞き、丁寧な議論が必要」とし、神戸市北区で集会を開いた。

 集会は「三田市民病院をまもる会」などが主催し、約100人が参加した。同会はこれまで署名活動や勉強会などを行ってきた。この日の集会では、検討委員会の初会合を傍聴した人が「改善には統合しか道はないのか疑問」「統合ありきで話が進んでいる」などと報告した。

 まもる会の東浦徳次代表(67)は「公的な病院の再編や統合の話は住民の声を聞いた上で進めるのが当然。市民への説明会を開くべきだ」と主張した。

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