三田

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選手村で提供されるスクランブルエッグ(左)とトマトソース=神戸市北区
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選手村で提供されるスクランブルエッグ(左)とトマトソース=神戸市北区
レトルトパックにはハラール認証マークが付いている=神戸市北区
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レトルトパックにはハラール認証マークが付いている=神戸市北区
トマトソースは挽肉などと混ぜてパスタにかけたり、チキンソテーやチキンカツにもぴったり=神戸市北区
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トマトソースは挽肉などと混ぜてパスタにかけたり、チキンソテーやチキンカツにもぴったり=神戸市北区
工場では従業員15人がハラール食品の製造を手がける=神戸市北区
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工場では従業員15人がハラール食品の製造を手がける=神戸市北区
道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢内に構えた工場=神戸市北区
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道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢内に構えた工場=神戸市北区

 水泳、卓球。そして柔道! 日本人のメダルラッシュが続く東京五輪。そんな五輪の選手村で兵庫県三田市志手原の食品加工・卸売会社「日乃本食産」が製造するスクランブルエッグとトマトソースが提供されている。バターがふんわり香る卵やフレッシュな酸味のソースは確かにおいしい。とはいえ、定番のメニューがどうして三田から?(喜田美咲)

 答えは道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢(おおぞう)(神戸市北区)内の同社工場にあった。そこは、イスラム教徒も食べられる材料で作った「ハラール(ハラル)食」を扱う専用工場。選手村で提供される2品もここから出荷しているハラール食品だ。

 NPO法人「日本ハラール協会」(大阪市)から認証を受け、世界基準を満たした環境で調理している。専用の調理器具を使い、イスラム教で禁じられている豚や酒類は一切使わない。認定基準は厳格で、パン粉の中に豚の油を含むショートニングが入っていたり、ゼリーを固めるゼラチンが豚由来だったりしてもいけない。

 徹底した環境で作られたトマトソースは、イタリアントマトに生の国産トマトや淡路産タマネギを加え、フレッシュさだけでなく、鮮やかな色合いになるようこだわった。スクランブルエッグは丹波市のカンナンファームの卵を中心に使う。白身の透明度が高く、火を通した時に弾力があるのが特徴だ。半熟が苦手な外国人が多いため、いり卵のようにしっかりと火を通した。

 東京五輪の開催が決まった2013年、和食が「国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産」に登録された。「この頃から商品の展示会に来る海外のバイヤーの数が日本人を上回るようになった」と見野裕重社長(55)は振り返る。同時に、「これはハラールですか」と展示会で聞かれることが増えた。

 アレルギー対応だけでなく、宗教上の理由などさまざまなハードルを越えて海外に日本食を広めたいと15年、ハラール食の開発を始めた。国際規格を取得し、17年1月、専用工場を構えた。

 現在、調味料をはじめ、肉じゃがや唐揚げなど約200種類のハラール商品をそろえる。これらは機内食として提供されており、19年の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の食事会にも並んだ。「プロの料理人が、自分のホテルで出してもいいと思ってくれている。味には自信を持っています」

 五輪での提供は、ハラール食を展開し始めた頃からの目標だった。海外からの観客も増えるため、会場周辺の宿泊施設にもハラール食品を卸そうと、五輪そのものへの納品は2品と決めていた。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大で計画が崩れた。

 東京五輪にはすでにスクランブルエッグ4トンとトマトソース2トンを納めたが、当初の想定の4割にとどまる。「無観客になるとは。今頃忙しかったはずなんです」と苦笑いしつつ、見野さんは25年の大阪万博を次の和食文化発信の機会と見据えている。

 ハラールの専用工場は採算が取れないというが、生産を続けるのは、日本食で世界の食卓を豊かにしたいという創業時からの思いがある。「掛け軸。一輪挿し。茶の心。懐石料理を見ると、日本の魅力が詰まっている」。食はその国の文化を凝縮したものだと見野さんは言う。スポーツで一体感が生まれるように、「互いの国の料理を食すことで心が通う。そんな力があると信じています」

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