三田

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車に積まれた本をじっくり眺める=母子小学校
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車に積まれた本をじっくり眺める=母子小学校
子どもたちの反応を見ながら話を進める辻さん=母子小学校
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子どもたちの反応を見ながら話を進める辻さん=母子小学校
大きく手を上げてクイズに答える子どもたち=母子小学校
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大きく手を上げてクイズに答える子どもたち=母子小学校

 カン、カン。拍子木の音が響く。本を眺めていた児童が急いで駆け寄る。「おかあさーん。はやくはやく」。木箱のまわりに親子連れが集まると、紙芝居のはじまり、はじまり。(喜田美咲)

 夏休み、兵庫県の三田市立図書館が実施する移動図書館に合わせて、母子小学校(母子)で「青空紙芝居」があった。読み聞かせをするのは、市内の手作り紙芝居サークル「おもちゃ箱」を主宰する辻太一さん(74)。母子小では小学生や中学生約10人が集まり、オリジナルの物語に耳を傾けた。

 木枠の中から絵が描かれた厚紙を引き出す。そこだけ、昭和時代のような時間が流れた。

 開始早々、子どもたちを夢中にさせたのが「なんだろなクイズ」。黒い影絵を見て何の形かを当てる。「クリスマスの夜にやってきて、朝出て行くこの人は…」「サンタさん!」「ブブー、泥棒でした~」「えー!」。子どもたちとの掛け合いが漫才のように繰り広げられる。

 釣りをしていると巨大な魚に出合い、水の中を引き回されるお話。目の錯覚を利用した絵や変顔で笑わせるショートショート。母子小5年の男児(10)は「クイズはインチキやったけどな」と笑い、「テレビとは違う、昔って感じがおもしろかった」と話した。

 「子どもの表情を見ながら話す。こうやったら友達になれるかなって考えながら」と辻さん。紙芝居の裏は白紙。反応を見てアドリブも入れていく。勢いよくたたみ掛けるような口調は「機関銃みたいって言われる」とにやり。

 絵も文章も全て辻さんの手作りで、集まった年齢層を見ながらその日の作品を選ぶ。1話は10~11ページで約6、7分。「子どもたちが集中して聞ける時間内に衝撃を与えないかん」。同サークルはこのほか、毎月第4土曜日に図書館で公演している。冬には親子で楽しめる講座を開き、紙芝居の製作や発表も行う。

 辻さんは同県西宮市に住んでいた35歳の頃、近くの講座に通ったのをきっかけに紙芝居作りを始めた。

 幼少期、紙芝居師が自転車で自宅近くに来ていて、友人と見に行くのが楽しみだった。「まだテレビが始まったぐらいのころ。拍子木の音が合図で、母親に小遣いをねだってた」

 それから大人になり、懐かしさから受講したが、特別な時間を現代の子どもたちにも味わってほしいと思うようになった。当時は講座のメンバーと神社の境内で定期的に公演。かつての雰囲気を再現しようと、紙芝居を披露する木箱には水あめや型抜きを入れ、集まった子どもたちに手渡した。

 三田に移り、2年がたった1991年、初めて開かれた大阪府箕面市の手作り紙芝居コンクールで最優秀賞に輝き、三田市立図書館から公演依頼を受けた。95年からは「手作り紙芝居講座」の講師も務め、2001年、講座の卒業生らとおもちゃ箱を立ち上げた。現在、親子連れや定年退職した人など13人が所属する。

 辻さんがこだわるのは、物語から絵まで全て自作してもらうこと。それによってメンバーの個性が話や絵に表れ、どう聞かせるか、どう楽しんでもらうかを考えるようになる。子どもが作った紙芝居でも、「なんでこんなん思いつくんや」と驚かされるという。

 メンバーは高齢化に伴ってピーク時の半数ほどになったが、学生など新たな仲間を募りながら活動を続けたいという辻さん。「子どものころ、10円玉を握りしめて見に行った『わくわく感』を、今の子どもたちにも感じてもらえたらええな」

 幼稚園や学童、老人ホームなどの施設やイベントへの出張も受け付けている。

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