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認知症高齢者の家族に無償で貸し出しているGPS=三田市役所
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認知症高齢者の家族に無償で貸し出しているGPS=三田市役所

 兵庫県三田市は9月1日から、認知症の高齢者らが事故などを起こして損害賠償を求められた際、救済する独自制度を始める。市が契約者となって民間の保険に加入し、最大で1億円を補償する。市は「認知症の高齢者や家族の負担軽減を図り、安心して暮らせる地域を目指す」としている。(土井秀人)

 市によると、市内の認知症高齢者は推計で約2600人おり、2025年にはおよそ3千人に増加するとみられる。今回の制度では、認知症が原因で他人にけがを負わせた場合や、人の物品を破損した際などに賠償金が支払われる。保険が適用される具体的な事故例としては、レストランで食事中に誤って椅子を汚した▽洗面所や台所などで水をあふれさせ、階下への漏水で建物や家財に損害を与えた▽誤って線路内に立ち入り走行中の電車を止めた-などが挙げられる。

 制度の対象となるには、(1)三田市に住民票がある40歳以上(2)自宅で生活している(有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などにいる人は対象外)(3)要支援・要介護認定を受けている(申請中を含む)(4)市の認知症見守り用GPS(衛星利用測位システム)端末の利用者、または市の認知症高齢者等SOSネットワーク事業の利用者-の4項目全てを満たす必要がある。

 GPS端末は、帰宅困難になる可能性がある認知症高齢者の家族に無償で貸与している。SOSネットワーク事業は、行方不明になった際に早期発見できるよう写真などを市に事前登録する仕組み。市が認知症対策のために始めた取り組みだが、利用者は計55人と低迷している。今回の制度開始を機に、両事業の周知を図る狙いもある。

 1人当たりの保険料は年額2220円で、全て市が負担する。不慮の事故などで対象者が誰かを死に至らしめた場合には、被害者遺族に見舞金15万円が支払われる。

 認知症を巡っては07年、愛知県大府市で91歳の男性が電車にはねられて死亡した後、JR東海が損害賠償を求めて家族を提訴。全国で議論となり、19年には神戸市が独自の救済制度を開始。県内では、養父市や尼崎市に広がっている。

 三田市の森哲男市長は「認知症の人のトラブルがあった場合、本人や家族だけが責任を負うのではなく、地域社会で支えたい」と話した。

 市いきいき高齢者支援課TEL079・559・5070

■JR東海の認知症事故訴訟

 2007年12月、愛知県大府市で認知症だった男性=当時(91)=が、介護をしていた妻が寝ている間に外出。近くの駅構内で電車にはねられて死亡した。JR東海は振り替え輸送費用など約720万円の損害賠償を求めて妻と、別居中の長男を提訴。1審は請求の全額、2審は約360万円の支払いを命じたが、16年に最高裁でJR東海の敗訴が確定した。遺族の責任は問われずに済んだが、認知症患者が事故やトラブルを起こせば、家族が賠償責任を問われる可能性について意識されるきっかけになった。

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