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さまざまな染め方を実験中の渡邊さん=三田市藍本
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さまざまな染め方を実験中の渡邊さん=三田市藍本
葉をミキサーでかくはんする=三田市藍本
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葉をミキサーでかくはんする=三田市藍本
こし出すと鮮やかな緑の染料ができる=三田市藍本
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こし出すと鮮やかな緑の染料ができる=三田市藍本
空気に触れるたびに色の濃さが増し、鮮やかな水色になった=三田市藍本
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空気に触れるたびに色の濃さが増し、鮮やかな水色になった=三田市藍本
畑で育った藍の葉=三田市藍本
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畑で育った藍の葉=三田市藍本

 兵庫県三田市西部の藍地区で、その地名にもある「藍」を栽培し、染め物を始めた人がいる。地元には古代に藍が栽培されていたという言い伝えが残る。同地区で工房を営む男性が独学で手法を研究し、藍が生み出す空のような青色や深い赤紫色の魅力を広めようと取り組んでいる。(喜田美咲)

 同地区内にある三田市藍本の森の中。車1台がやっと通れる小道を進むと、傾斜地に1軒のログハウスが立つ。ここが「里山工房」。渡邊和俊さん(73)=神戸市須磨区=が木工の教室として1998年に開き、手仕事好きが集まる。

 藍染めを始めたのは昨年。渡邊さんが額縁の制作を請け負っている草木染作家の大久保佳子さんから、「普段の作業のお礼に」と、基本的な染めの手法を教わったのがきっかけだった。以前、三田の民話に詳しい知人から藍地区ではかつて藍が栽培されており、それが地名の由来になったという話を聞いていた。もし本当なら、復活できないかと考え、今春、地元の人から譲り受けた100平方メートルの畑で藍を育て始めた。種は、伝統文化の藍について研究し、普及に努めている徳島県立城西高校から分けてもらった。

 藍の葉から抽出した抹茶色の液に漬けると、布は青く染まる。空の水色が深い海の青に変わるように、空気にさらすたびにその色は濃くなる。

 「化学の実験みたいなもんやね」と渡邊さん。色の出し方はさまざまで、摘んだ葉を水とともにミキサーにかけた液で染める「生葉染め」のほか、葉を発酵させて石灰などと混ぜる「泥藍」や、2週間凍らせた葉を煮出して酢を混ぜる「赤紫染め」などがある。板で挟んだり、ひもで縛ったりして染まらない部分を作り、模様を生み出す。

 駆け出したばかりの現在は、試作の繰り返し。沈殿するはずの染料がなかなか沈まない、と悪戦苦闘している。「これは当分悩まされるなあ」と苦笑い。

 渡邊さんは小学校の教員として定年まで勤めた。その傍ら、子ども向けの自然観察会を開く「兵庫自然教室(現ひょうご自然教室)」でリーダーを務め、森の中で植物の生態について教えてきた。三田で工房を開いた後は、有馬富士自然学習センターで、木の器や振り子時計作りの教室も受け持ってきた。

 工房には木工関係の仕事を退職した人や工作好きの主婦らが集まる。そのうち染めに興味がある13人で「藍♡染めの会」を立ち上げている最中だ。今後、藍を育てながら、例会を開くなど活動を本格化させる。

 三田の歴史に詳しく、市史の編さんにも携わった市地域創生部参事の印藤昭一さんによると、藍はもともと「阿井」と書き、その音が残って今の漢字になったという。藍を育てたことが地名につながったかは不明とするが、「(藍地区の隣の)本庄地区では藍染めのつぼが出土しているため、育てられていた可能性はある」とする。

 渡邊さんは「文化の復活なんて大げさなことではないけれど、化学染料ができる前はもっと身近な手法だったはず」と話す。今後、イベントなどで体験会を開く予定といい、「完成を予想しながら自分で染める面白さを味わってみてほしい」と呼び掛けている。

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