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ラーメンの自動販売機を設置した足立秀幸さん=三田市相生町
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ラーメンの自動販売機を設置した足立秀幸さん=三田市相生町
自販機で購入できる人気店の冷凍ラーメン=三田市相生町
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自販機で購入できる人気店の冷凍ラーメン=三田市相生町
リクエストカードを廃止しタッチパネル式に、マイクにはカバーをつけた=三田市相生町
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リクエストカードを廃止しタッチパネル式に、マイクにはカバーをつけた=三田市相生町

 東京でも有名なラーメン店の味が、兵庫県三田市相生町で楽しめるようになったらしい。しかも、複数の店のラーメンが1カ所に集まっている-。

 そんなうわさを聞きつけて訪ねると、1台の自動販売機が立っていた。「ここが店?」。さらに「店主」は近くのカラオケサロンを営んでいるという。そこには、新型コロナウイルス禍に翻弄(ほんろう)された男性の、新たな一歩があった。(喜田美咲)

 夢のようなラーメン店の正体は、冷凍自動販売機「ヌードルツアーズ三田店」。三田には初出店で、10月下旬に開店した。麺類製造販売を手掛ける丸山製麺(東京都)が運営し、相生町の「歌謡サロン☆歌仲間」が代理店として、商品の管理や補充を担う。

 自販機には5種類のラーメンが並び、全て税込み千円で購入できる。麺とスープ、店によって異なるメンマやチャーシューなどのトッピングが入っており、麺はゆでて、スープは湯煎で作る。

 売れ筋によって中身は随時入れ替わっていくというが、近頃の人気は、豚骨のクリーミーなスープに背脂の甘みとしょうゆの香りが効いた二郎系「らーめんバリ男」や、魚介類や香味野菜でだしを取り、塩にこだわった「AFURI 柚子(ゆず)塩らーめん」だという。

 「大学生が多い街やから。がっつり食べたい若者に二郎系は人気やね」。そう話すのは歌仲間オーナーの足立秀幸さん(72)。カラオケ店を1階から2階に移した際、通りに明かりを残したいと自販機の設置を決めた。

    ◇

 歌仲間は2001年、脱サラした足立さんが三田町でカラオケホールとして始めた。07年に移転し、相生町の複合施設1階にカラオケスタジオを構えた。本格的な音響にこだわり、七つのスピーカーを備えた。ミキサーを使い、ステージにはスポットライトを当て、「わいわい騒ぐ」のではなく、歌い手の声に耳を傾けるカラオケが売りだった。

 しかし、新型コロナウイルス禍で、昨年4月以降はほぼ開けられなかった。「収入はほぼゼロだけど、出て行くものは出て行く。でもうちは協力金をもらえたから、それすらもらえない業者の人に申し訳ないとも思ってしまう」

 お金の問題より落ち込んだことがある。

 客から「行きたいけど娘から『カラオケなんか行ったらあかんで』って言われて」と告げられた。東京都知事がカラオケを控えるようテレビで呼び掛けた。自分の商売が悪者にされていると感じた。来て見てもらえれば「カラオケなんか」と言われる場所じゃないと分かってもらえるのに、と悔しかった。

 「次は○○さんです。どうぞ」。司会をしてスポットライトを当てる。リクエストカードに歌いたい曲を書いてもらう。それがサービスだと思っていた。

    ◇

 昨年6月、防音構造の整った1階より窓が多く換気がしやすい2階に店を移した。ステージは小さくなったが、コロナ禍で当たり前ではなくなった「集う楽しみ」を優先したいと思うようになり、名前も「スタジオ」から「サロン」に変えた。

 接触を避けることがサービスの低下につながるのではないかと悩んだが、司会をやめ、電子目次本を導入した。食事を1人分ずつに分け、夜は会員制にした。個別のカラオケレッスンなども新たに準備している。

 1段高いステージでマイクを握ると、注目を浴びて少し照れる。店で知り合った人と新たな交流が生まれる。シニア世代にとってカラオケは、社交の場で元気の源だ。

 空いた1階の活用は検討中だが、夜も通りを照らすためにと、現在全国的に数を増やしつつあるラーメンの冷凍自販機に目をつけた。開業には、接触機会を減らした新規事業展開を応援する国の「小規模事業者持続化補助金」を活用。手がつけられていなかった花壇を取り払い、壁のペンキを塗り替え、通りに面した施設前の中央に販売機を置いた。

 足立さんは「(歌仲間は)地域自慢の店だと自負している」と笑顔を絶やさない。ようやく緊急事態宣言が解除され、対策をしながら店を開けられるようになった。自販機で街を盛り上げながら、地域の仲間に寄り添う場所であり続けたいと願っている。

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