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義足の付け方を説明する松本功さん(手前)と唐内健太さん=三田市志手原
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義足の付け方を説明する松本功さん(手前)と唐内健太さん=三田市志手原
「誰でもやりたいことができる工夫を考えたい」と話す唐内さん=三田市志手原
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「誰でもやりたいことができる工夫を考えたい」と話す唐内さん=三田市志手原
聖火リレーの思い出を振り返る松本さん=三田市志手原
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聖火リレーの思い出を振り返る松本さん=三田市志手原
両腕のない選手が旗を背負って入場する=8月24日、国立競技場(撮影・吉田敦史)
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両腕のない選手が旗を背負って入場する=8月24日、国立競技場(撮影・吉田敦史)

 兵庫県三田市志手原の上野台中学校で、神戸医療福祉専門学校の教員で義肢装具士の唐内健太さん(34)と義足ランナー松本功さん(62)=大阪府吹田市=による人権講演会があった。2人は異なる立場で東京パラリンピックに携わり、障害のある人が活躍できる環境づくりについて、それぞれの視点で話した。同校3年の女子生徒(14)は「障害のある人は支えと努力でできることがたくさんあると分かった。必要な時にみんなが助け合えるようにしたいと思った」と話した。講演の要旨は次の通り。(まとめ・喜田美咲)

■義肢装具士・唐内健太さん「できること増やしたい」

 東京パラに義肢装具士として派遣された。試合前後の選手の車いすや装具を調整、修理して次の出番へと送り出した。会場では「何でも屋」。世界各国から派遣された技術者と知恵を出し合い、初めて見る器具とも向き合った。

 開会式直前には、両手のない選手が旗を持てるよう、リュックサックのように背負えて旗を取り付けられる装具を作った。

 もともとものづくりが好きだった。小学生の頃、装具を付けていた友人がいたことや、テレビで見た義足のランナーがかっこいいと思ったことをきっかけに専門学校に進んだ。

 義肢装具士になった今、物を作ることだけが仕事でないと分かった。痛みを感じないか、違和感がないか。体に触れ、コミュニケーションをとって、心の内にある悩みを見つける。相手を理解して信頼関係を築いてこそ、できる役割なんだと知った。

 アスリートだけでなく、音楽家など、義肢や装具を使って挑戦を続ける人がたくさんいる。今でこそ器具が増えて外出がしやすくなった人もいるが、もっとできることを増やしていくのが今の目標。

 目に見えている人が全てではない。いろいろなアイデアや価値観を取り入れて、「工夫一つでやりたいことができる世の中」になる手伝いをしていきたい。

    ◇    ◇

■義足ランナー・松本功さん「知ることから始めて」

 パラでは大阪府吹田市の聖火ランナーを務めた。

 義足の右脚が見えるよう、あえて半ズボンをはいていたら、テレビのカメラマンが脚をアップで撮ってくれてうれしかった。

 現在は、神戸医療福祉専門学校で、学生が義足を製作する際や企業が新製品の義足を発表する場でモデルをしている。

 0歳で右足の裏に肉腫があると分かり、医師に「太ももから切らないと命が危ない」と告げられた。

 腫瘍のある足裏の一部を切除することでとどまったが、小学4年で再発。脚(膝下)を切断することになった。切断することを両親が隠していたため、手術が終わって包帯を解いた時、絶望した。歩けない。これからどうなるのか。できないことばかり浮かんだ。

 ふさぎ込んでいたとき、親身になって義足のことを教えてくれた義肢装具士の存在が、早く歩きたいと思わせてくれた。先に入院していた義足の「お姉さん」への憧れも相まって、筋力トレーニングや歩行訓練に励んだ。

 学校の友人が今まで通り接してくれたのが、大きな救いだった。

 ただ、当時スポーツ用の義足は普及しておらず、体育は見学。街ではじろじろ見られるようになり、脚を隠し、自宅で遊ぶことが増えた。それから約40年、社会人になっても運動しなかった体は肥満状態になった。

 そんな時、同校のスポーツ義足で有名な義肢装具士に出会った。かっこいいカーボン素材で軽くてはねる義足をつけ、毎日1時間のウオーキングを始めると体重は見る見る減少。トレーニング開始から2年がたった50歳の頃には、20キロ走れるようになった。

 2011年の第1回神戸マラソンでフルマラソンを初めて完走。その後は世界各国のフルマラソン23回、ハーフマラソン28回を走りきった。

 パラリンピアンじゃなくてもみんな頑張っている。失ったものを数えず、残されたものを最大限に生かす。

 できないことは周りの助けを借りたいが、困っている時だけで大丈夫。「お困りですか」と声を掛けてくれたらうれしい。だから、怖がったりかわいそうだと思ったりするのではなく、個性の一つだと思って障害を知るところから初めてほしい。

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