兵庫県三田市の特産品「ウド」の伝統的な育て方を広く知ってもらおうと、県立有馬富士公園でわら小屋を建てて栽培するプロジェクトが進んでいる。25日には、小屋にウドを敷き詰めてわらをかぶせる作業「伏せ込み」が行われた。(小森有喜)
栽培開始から100年以上の歴史がある三田のウド。かつては市内の各所で木材とわらで建てた小屋が見られたが、今はビニールハウス栽培が主流だ。小屋は毎年建てては壊さなければならないなど負担が大きく、2軒だけが伝統的な栽培を続ける。
県立人と自然の博物館(同市弥生が丘6)の福本優研究員(38)がプロジェクトを企画。公園で栽培することで、市民が興味を持ったり、関わったりする機会を増やす狙いがある。
小屋での栽培を続ける前中建蔵さん(85)、千代子さん(79)夫妻=同市=が協力。12月中旬、公園内のかやぶき民家近くに小屋を建てた。
25日には、同博物館や有馬富士公園の関係者らも手伝い、小屋の中に芽が付いた株を敷き詰めた。上から土をかけてわらをかぶせ、最後に水をかけた。わらの下で熱がこもって10~15度ほどにまで温度が上昇し、柔らかい茎に育つという。来年3月中旬に収穫を予定している。
前中さんは「緩やかに温度が上がることでより柔らかいウドができる」。福本研究員は「今はまだ実験の段階だが、今後、多くの人が関わるイベントも検討したい」と話していた。
