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生徒に語りかける阪中順子さん=狭間中学校
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生徒に語りかける阪中順子さん=狭間中学校

 「生きているだけで丸もうけ」。明石家さんまさんの座右の銘で、娘IMALU(いまる)さん命名の由来でもある。「困難に陥った時、この言葉を思い出してくれたら、それだけで来たかいがある」。昨年、狭間中学校(兵庫県三田市狭間が丘)であった「心の危機」にどう向き合うかの授業で、講師の阪中順子さんが呼び掛けた。(土井秀人)

 新型コロナウイルスの感染拡大後、小中高生の自殺が大きく増えた。文部科学省の調査では、2020年度は過去最多の415人(前年度比98人増)。小中学生の不登校も最多の約19万6千人となった。狭間中では、20年度から自殺予防・防止の授業を行っている。

 阪中さんは元中学校教諭で臨床心理士。奈良女子大大学院の非常勤講師や学校心理士スーパーバイザーも務めている。

 授業で阪中さんは、「日本で突出して生き心地の良い町」という徳島県海部町(現海陽町)を紹介。自殺者が最も少ない町として知られる。

 研究者が調査したところ、海部町では「赤い羽根共同募金」が集まらない。人と違った行動をとっても責められず、人間関係が緊密すぎないからだという。

 阪中さんは「これは、生き心地のいい学校やクラスにもつながる」という。「いろんな人がいてもいい」だけでなく、「いろんな人がいた方がいい」。

 また、海部町の住民は職業や学歴で人を評価しない。「どうせ自分なんて」と思わず、誰にでも必ず何かできることがあると考える。弱みや問題を大っぴらにすれば、誰かが助けてくれる。オープンだけど緩やかにつながり、関心は持つが監視はしないという。

 「思春期の心は『人生のピンチ』と言われる」と阪中さん。身体や心に急激な変化があり、親や先生からの心理的自立が課題となる時期だ。理想と現実のギャップにイライラしたり、不安になったりすることが、人生の中で一番起こる。発達の階段を上っている状況で、阪中さんは「きっと大人になった時のほうが楽になる」とほほ笑んだ。

 寝られなかったり、食べられなかったりする状況が2~3週間続けば、それは気持ちの問題ではない。「脳の不調」だ。身体の病気のように目に見えないため、「『頑張れ』と言われるかもしれないが、自分を守るため、信頼できる大人に伝えてほしい」。

 阪中さんは小説「ハリー・ポッター」の作者、J・K・ローリングさんのエピソードも紹介した。彼女は離婚した時、赤ちゃんがいた。生活保護に頼りながら書き上げたのがハリー・ポッターだという。心の危機は誰にでもある。「大変な時はいろんなことを利用しよう」

 自分や周囲が心の危機に陥った時のキャッチフレーズが、「きようしつ(教室)」だ。

 きづいて

 よりそい

 うけとめて

 しんらいできる大人(専門機関)に

 つたえよう

 人の気持ちは分からない。自分の気持ちですら分からない時がある。「それでも分かろうとすることが、理解することだと思う」。友達の考えや行動を、良い悪いで判断しない。寄り添い、「良い聞き手」になることが大切。そういう人がそばにいたら、困難の中でも一歩を踏み出せる。

 授業の終わりに、阪中さんが語り掛けた。「心の危機の時には、信頼できる大人を探し、相談してほしい。あなたの応援団は必ずいる。もし信頼できる大人がいなかったら、公的なサポートもある。解決策はどこかにある。みんなは三田の宝、日本の宝なのだから」

【バックナンバー】
(2)晴人【下】 三田でやれることから
(1)晴人【上】 友達をつくるのは諦めた

■SNSや電話相談窓口開設

 県内の児童生徒の相談窓口として、県教育委員会は「ひょうごっ子SNS悩み相談」を開設している。無料通信アプリLINE(ライン)で相談でき、受け付けは午後5~9時(新しい相談は同8時半まで)。友達登録のQRコードなどは、学校で配布しているカードに記載している。

 ラインを使っていない人は、ウェブサイト(「ひょうごっ子SNS悩み相談」で検索)からも相談できる。

 電話相談の「ひょうごっ子悩み相談センター」は24時間受け付ける。TEL0120・0・78310

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