三田

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「地元ゆかりの革製品に携われてうれしい」と亀川亜矢子さん=大阪府池田市
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「地元ゆかりの革製品に携われてうれしい」と亀川亜矢子さん=大阪府池田市
二つ折り財布には「SANDA」の文字が隠れている
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二つ折り財布には「SANDA」の文字が隠れている
きめが細かい革質が特徴
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きめが細かい革質が特徴
カップホルダー
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カップホルダー

 兵庫県の三田牛の革を使った「三田レザー」を商品化しようと、有志がプロジェクトを立ち上げた。革の丈夫さやきめの細かさが特徴で、全国への流通を目標に掲げる。ブランド名は牛を「全部捨てへん」との思いを込めて「ZENSTEN(ゼンステン)」とした。(小森有喜)

 三田牛の定義は、但馬牛の子牛を指定農家で2年以上育てた月齢30カ月以上で、決められた場所で解体、処理されたもの。三田肉流通振興協議会によると、良質な肉は取れるが、但馬牛そのものが比較的小さいため、革製品には適さないというのが業界の常識だった。同協議会の乾哲郎会長(61)は「皮は捨てるのが当たり前でした」と話す。

 しかし近年、三田牛の生産農家数や飼育頭数は減少傾向に。そこに新型コロナウイルス禍による外食産業の低調が追い打ちをかけた。

 こうした中、地元の牛革をブランド化し、地域活性化につなげようと、新規事業を検討するプロジェクトが立ち上がった。発案者はクリーニング店を営み、革製品のメンテナンスも手掛ける尾崎勝浩さん(38)=三田市。三田牛は雌牛が多く、去勢された雄牛よりおとなしいため、皮に傷が付きにくい点に着目した。畜産農家で話を聞き、試作を重ねた。三田食肉公社から皮を買い取り、姫路の工場でなめす。

 製作を担うのは尾崎さんの中高時代の同級生で、オーダーメードの革バッグなどを手掛ける亀川亜矢子さん(37)=大阪府池田市。「三田出身の人にこそ作ってほしい」と依頼され、協力を買って出た。

 なめした後の革を初めて触った印象は「きめが細かい」。裁断時に刃を入れると、密度の高さに驚かされた。製品ごとに必要なパーツを型紙で作り、革を裁断。「すき機」を使って圧縮し、糸を通す穴を開けていく。ほぼ手作業だ。

 亀川さんのデザインには遊び心も。二つ折り財布は小銭入れなどの形を工夫し、パーツをよく見ると「SANDA」の文字が浮かび上がるようにした。カードケースやカップホルダー、靴べらなど6種類を展開している。

 購入はクラウドファンディングサイト「Kibidango」から。カードケース8千円、二つ折り財布1万円(いずれも税込み、送料込み)などで、5万円でオリジナルの財布をオーダーする権利も販売している。今月30日まで。ふるさと納税のインターネットサイト「ふるさとチョイス」でも扱っている。

 乾会長は「大切に育てた牛を最後まで活用してもらえることは生産者としても非常にありがたい」と歓迎。尾崎さんは「三田レザーとともに三田の地名も全国、世界に広め、地域活性化につなげたい」と話している。

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