兵庫県三田市消防本部が写真共有アプリ「インスタグラム」を使い、ユニークな活動発信に取り組んでいる。プロ野球の実況風に心肺蘇生法を解説したり、隊員が役者となりこだわりの演技を見せたり。消防の活動に興味を持ってもらい、有事に命をつなぐ協力をしてほしいと願い、工夫を続けている。(喜田美咲)
「今日は天ぷらにしよう。おつゆに付けて食べようかな~」。油鍋を火に掛けた時、インターホンが鳴り、そのまま玄関へ向かった。「ブブーッ(×)」。戻ると鍋から炎が上がっていたので、慌てて水を掛け…「ブブーッ」。
天ぷら火災を再現した収録の一場面。隊員が演技をしながら間違いを指摘する。「天ぷら油って360度を超えると火の気がなくても勝手に火が付いてしまいます」。揚げ物をする時はその場を離れない、消火スプレーを常備するなど注意点を伝える。いかに危険かを知ってもらうため、実際に火の付いた油に水を注ぎ、高く燃え上がる様子も撮影する。
「フォロワー千人を目標にしています」と総務課の西祐介さん(36)。若者を中心に消防の活動を知ってもらおうと、昨年8月にアカウントを立ち上げた。タイトル画面の見やすさや劇の起承転結の付け方など、若手職員の意見を聞きながら試行錯誤する。
現在、投稿は週に2回程度。日常に潜む火災の危険性を呼び掛ける予防課の「防火あるある早く言い隊」や、救護の方法を紹介する救急係の「キッピーの命を助け隊」のほか、隊員のトレーニング姿や昼食「消防飯」、出動指令のアナウンスなど、仕事の裏側を投稿すると反応がいいという。
1月には、三田市を拠点とする野球のさわかみ関西独立リーグ球団「兵庫ブレイバーズ」とコラボレーションし心肺蘇生法を実践で紹介。選手がスライディングで駆け付け、自動体外式除細動器(AED)の準備や胸骨圧迫などをてきぱきとこなした。
アドリブ演技に挑み続ける警防救助係長の射場達也さん(43)は「また見たいと思ってもらえるよう、ユーモアを入れる」とこだわる。次回収録のテーマを聞いた後はイメージトレーニングを欠かさない。
投稿は消防隊員を目指す学生や、全国の消防ファンにも注目されており、応援のコメントも届くようになった。双方向のやりとりができるため、「出動中、道を譲ってくれてありがとう」などこれまで思っていた感謝を伝えられるようにもなった。西さんはコメントでもらったリクエストにもできる限り答えていきたいと意気込む。
あの手この手を講じ、伝えたいことはただ一つ。隊員は人命救助に最善を尽くす。でも現場に居合わせた人が第1発見者。「初期消火や応急処置。するかしないかで状況は変わる。発信を通して自分にできることを考えるきっかけになってほしい」
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